このレビューはネタバレを含みます
ある人の身に起きた、第二次世界大戦後の約10年。
3650日、87600時間、5256000分。
それを約2時間にまとめたハイライト版を観たわけだけど、こういう映画をちゃんと観るには、想像力が要る。
私が好きな伊坂幸太郎氏の本の言葉に、「人生は要約できねえんだよ」というセリフがあるが、映画化するために要約されてしまった2時間以外に、山本さんには87598時間の人生があったはずなわけで。
もちろん、他のシベリア抑留者や、日本にいる家族にも。
そこを想像しながら観るかどうかで、重みが全く変わってくると思う。
安田顕さんが演じる原さんが、自分可愛さに山本さんを売ったとされたとき、私は山本さんが闇堕ちするんだと思っていたけど、そうはならなかった。
私は、そうはならなかった山本さんの日常にこそ、山本幡男という人の本質が詰まっている気がする。
犬のクロが追ってくるシーンなんか、絶対に御涙頂戴の創作だし、どうでも良いっつーんだよ。
しっかり泣いたけど。
現代に目を向けると、戦勝国であるロシアは今も戦争を続け、戦敗国である日本は平和を享受している。
それが私には皮肉なことのように見えるけど、ロシア人には違って見えるのかな。
先人のおかげで、私は今日も平和の恩恵に与っております。