あーち

ラーゲリより愛を込めてのあーちのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.6
山本幡男という男が過酷な状況でも家族や仲間を愛し続け、妻との約束を守るためにただ「ダモイ」の日を待ち続けた嗚咽不可避なストーリーである。しかし、感動を巻き起こした奇跡として綺麗事だけで片付けることはできない。遺族に伝えられた奇跡の遺書リレーが事実であること以前に、戦後も理不尽な過重労働を強いられ、家族に会うこともできず死んでいった兵士がいたこと、一方で、終戦で帰ってくるはずの夫や息子に会うことができないまま亡くなってしまった家族がいたこと、その全て実話であることが複雑な心境を招いた。
この映画を通じて、過酷な状況だからこそ生まれた絆の感動だけでなく、戦争が招く恐ろしい被害と悲惨な事実を改めて思い知った。21世紀になった今もはびこる戦争による被害から目を逸らしてはならないと強く感じた。
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