髙田由美

希望の街の髙田由美のレビュー・感想・評価

希望の街(1991年製作の映画)
3.7
群像劇としてよく出来ている。
それまで追っていた人物からすれ違った人物に流れるように視点を移してターゲットを切り替えていく独特のカメラワーク。それによって白人の市長や検事などの富裕層から貧困層の黒人まで、直接には関わりあっていない様々な人物達が街という括りのなかで繋がっている様がよく表現されていて面白い。

欲や妥協に満ちたうんざりするような展開の中、時折些細な人と人との温かな交流や正しさが垣間見えて気持ちのよい風が吹く。その匙加減がリアルでちょうどいい感じ。
人間は個人レベルならもっと美しく真っ直ぐ生きられるのに、社会や組織にと関係性が絡み合っていくにつれて歪みができてくる。そのやるせなさを感じさせる映画。

デズモンドの母親は立派だった。
髙田由美

髙田由美