クドゥー

地球外少年少女 前編「地球外からの使者」のクドゥーのレビュー・感想・評価

4.0
『15年の沈黙を破り、15年の先を語る手』

未来の宇宙ステーションに取り残された少年少女たちが絶体絶命の危機に挑む磯光雄監督作品は、大人たちには全神経を研ぎ澄ませて誰も観たことのない物語と出会う心を呼び覚まし、子どもたちには将来有望が約束された何かを目覚めさせるSFアニメ映画の傑作。

センスの塊みたいなガジェットで世界観を紹介する冒頭から近年のAIを扱った作品を過去にし、膨大な情報量を詩的で青春な台詞回しで叩き込むストーリーテリングに夢中になって、二人の少年の対照で友情な関係性からテクノロジーのデッドエンド未来論が語られる。

ポテンシャルの塊みたいな職業声優陣の芝居がゴリゴリのディテールをとっつきやすくしてくれ、第二次性徴の刹那を切り取った絵の芝居を宇宙より壮大に感じる僕はどうかと思うが、日本が世界に誇るべき芸術がポリコレによって迫害されないことを願うばかりだ。



鑑賞記録
2022.01.28
→劇場と配信と販売のカオスで生まれた選ばれし劇場の選ばれし上映。サラウンドはなくとも繊細なデザインが豊かな音場を生み出し、色々な意味で目に焼き付けたい映像の真価を引き出す。今すぐ続きを観たいのと最高の環境で完結させたい気持ちがせめぎ合っている。
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