面白かった。
けっこうカオスに色んな要素が入ってたのにそれが贅沢に感じて面白かった。
時代や大人に虐げられる、殺伐としてるようにも取れる子供の視点の描き方が丁寧で、誘拐され本格的に本編が始まる前までの時間の長さが全く気にならなかった。
友人のロビンと話す、死霊のはらわたとブルースリーの下りが心癒された。何であそこまで喧嘩相手を殴ったかロジックで説明するロビンの姿で彼の理性的な面がよく分かるし、同時にそうしないと生きていけないあの町の子供社会の過酷さを感じて辛かった。
妹ちゃん最高だった。妹ちゃんがほとんど主人公としての資質を備えててこれ逆じゃね？と思ったけど、このバランスだからこそいいのかもなとも見終わって思った。神様にファック！て言うのは大切。一度祈ってるのがいい。『お前の夢は只の夢だ！』と言い聞かせられるのが可哀想すぎて心掴まれた。
主人公の男の子フィニー役のメイソンテムズ君の凛々しい目つきがずっと何も成し得てないのに反抗的でいい感じ。ここで終わらないぞって感じが目に宿ってる。
いじめっこヤンキーだった幽霊が死んでも悪態ついててすごい素敵だった。彼のおかげで相容れない奴だって同じ時代の仲間だという視点に立てる。
イーサンホーク演じる誘拐犯のキャラクターがやる事なす事キモくて最高だった。途中まで何の映画かわからなくなるこちらが混乱する感じのジャンルが定まらない浮遊感も素晴らしい。地下室のあの異空間っぷりがいいんだな。
大人が信じない異様で恐ろしくもあるファンタジーが子供の背中を押す、これぞジュブナイルホラーだ〜！て最後の方思わず感動した。ほんといい映画。
大人にも聞こえてるのに『鳴るはずがない』と思ってるから無視される黒電話が、子供には同じ苦しみを味わった者達を繋ぐ力になるっていう、この黒電話の存在に本作の現実と幻想、大人と子供、日常と非日常、等のテーマが凝縮されていて素晴らしい。
