MAOW

ブラック・フォンのMAOWのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.5
これは面白い。
さすがブラムハウス。


微妙に役に立たないアドバイスを残していく死人たち。

穴掘り
ロープ
窓枠
受話器パンチ
冷蔵庫(の中の肉)
鍵の番号
あとマット。

全部が一体となる鮮やかすぎるラストには舌を巻く。

しかもここで「電話だよ」からのこれまでのセリフの応酬が入り、
犯人撃退と相まって、映画史の中でもトップクラスの気持ちよさ。


ハラハラ感もしっかり持続してて
登場人物全員がわりと最後までしっかり機能してるのが偉い。

妹、犯人、犯人の兄、警察、それぞれが同時に現場に向かっていくところも良き。
ただ、最後にもう少し全員に見せ場あればよかったけど。



あとは「語らない」バランスも凄く良く出来てる。

主人公の母親の予知能力
犯人が主人公を「ただ見てただけ」のとき、涙を流してた?
犯人のやってたゲームとは?
犯人が素顔を晒されて取り乱す理由
さらには「ブラックフォン」そのものの謎
もっと言えば「なぜ主人公だけ特別なのか」

一切語られないけど、ノイズにはなってないバランス感覚すごい。

普通なら「なんでこの主人公だけ助かるんだよ。ご都合展開かよ」となるところが、
他の要素も語らないことによって
「きっとこの主人公にも何かしらがあるぞ」と思わせる力業。



バンダナ君との友情、パンチの練習がシンクロするところ、
なぜか感動したなぁ。

犯人倒してから階段を上がるときの顔つきも、「成長」が感じられる素晴らしい演技。



あ、あと冒頭の「野球映画か?」という混乱からの不穏なオープニングとか
一転、クルクルロングヘアーがピンボールゲームしてるところでの『Fox on the Run』とか、
そういう音楽系のセンスもめっちゃ好き。
MAOW

MAOW