masaaki

デューン 砂の惑星PART2のmasaakiのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2024 02 29

鑑賞直後の帰りの電車内にて。

結論から言えば、前作の方がアガったし、個人的に好きな気がする。でも、Part 1が公開されたときの比較対象は、過去の『デューン』映像作品群やその他IMAX名作、SFのマイルストーンだったからこそ衝撃的だったが、Part 2の比較対象はPart 1だから、ハードルが高すぎる、というかハードルの設定を自分が間違えていた気もする。

気になった点から。カット多くない?帰り際で隣の人が「全ての展開押し込みすぎ」って言ってたけど、各シークエンスを数秒でも短くするためなのか、細かくカット入れてたのが、IMAXスクリーンだからこそ余計に情報量過多。

あと、事前情報でアクション多めって聞いてたし、直前インタビューで監督が「ダイアログは嫌い」って言ってたから、てっきり会話シーンは極限まで削ぎ落としてるのかと思ったら、ひたすら喋ることし喋ること。Part 1と2のダイアログ時間計算して出してほしい。

気になった点3つ目。会話中の小っちゃいユーモアが、ナラティブとひたすらミスマッチ。これは俺が「ナラティブに関係のないジョーク/ユーモアは全く必要ない」と思っているせいでもあるが、民族浄化と信仰による分裂についての映画なのに、(キャラクターも観客も)ヘラヘラしてる余裕なくね?

続いて、最高だったところ。良いところは大体前作と同じなんだけどね。

続編だからこそ一番胸にきたのは、南部の聖堂でポールが遂にLisan al Gaib宣言をしてフレメンを跪かせたシークエンス。ここでチャニだけがずっと彼の存在、外部者に信仰を託すことへの疑問を持っていた。このズレがしっかりキャプチャーされていることで、崇拝と支配の生々しさが浮き出ていて、最高に最悪な胸騒ぎがした。『ブラックパンサー2』で必殺技と共に発せられる言葉「ワカンダ・フォーエバー」が呪いの言葉になってしまったような、伝統/信仰と呪いの気持ち悪さがうまく演出されていた。

次に、フェイドのモノクロ闘技場のシークエンス。こんなん明らかに映画の古典に立ち返ろうとしてる演出なわけで、まぁ白黒濃淡の質感が当時のモノクロ映画とは違うからそういう文脈では語れないんだけど、ストーリー上ごく自然に、映画って白黒でも十分なはずだよねって提示できていたのは素晴らしいことだと思う。

観ているときにふと、「これって『映画産業』のアナロジーあるのかな」って思って、「でもヴィルヌーヴは原作リスペクトすごいし、無理矢理自分の色出してこないよな」とも思ったけど、キーとなるセリフは”Long live the fighters”でしたね。Part 1の再上映に合わせて公開された監督コメントクリップの最後、監督が”Long live cinema”で締めていたわけですが、それが伏線だったと。”fighters”とは、劇場向けの映画製作に関わる人たちのことか。

長いこともあって後半たれるかと思いきや、フレメンの皇帝襲撃は圧巻。画角の広さを存分に活かしたカメラワークしてたし、場内めっちゃ暑かったのに鳥肌で震えてた。

フルサイズのIMAXスクリーンじゃなかったから、1:1.43とのメリハリはわかりません。誰かのレビューを読みたいと思います。

総合的な印象をまとめると、Part 1よりも勢いだけの中身空っぽ外側だけ映画になると思っていたら、ポール - チャニ - スティルガー(フレメン)- ジェシカaka Reverend Motherたちの思想の話だった。

聖なる水がある聖堂?が襲撃されて死者/難民が多数出る後半のシークエンスは今の時代まさにきつい。もうちょっと考える時間が欲しいですね。

おつかれさま!Part 3まで完走してね!!



出演時間5秒のアニャには笑った。
masaaki

masaaki