ただただ、素晴らしい。
ヴィルヌーブ監督は1作目の出来による観客の更なる期待（と不安）に最高の形で応えてくれた。
前作以上のスケールを見せながらここまで繊細に物語を紡いでくれるのか、なにより全てのショットが美しい。壮大な砂漠の引きのショットに対しての登場人物1ショットの寄り具合たるや、そこに何のためらいもない潔さには本当に感服する。
ここまで壮大なSFでここまで上品な作品を観たことがない、の底上げを続編でヴィルヌーブ本人が果たしたことは本当にスゴいことだと思う。
大胆さと繊細さ、その緩急をここまで自在に出来る彼のある種の豪胆さとも言うべき才能には賞賛しかない。
物語としてツッコミどころが無いわけではない。
銃火器の存在が非常に中途半端で集団戦で何でそこまで両者で刃物で戦うの？とか思ってしまったりするのだが、そこはそもそもの原作世界へのリスペクトと飲み込むべき点だろう。そこを越えていくともう本来の原作にある世界観が崩壊してしまうのであろうから。
あと、僕は基本役者に関して褒めることは特にしないのだが、本作におけるT・シャラメのポールが変化していく様に関しては本当に良くぞやり切ってくれたと賞賛したい。1作目のあどけなさから民を率いる救世主に至った時の説得力が彼に出せるのかという不安を抱えて観ていたがそんなものは完全に杞憂だった。
ヴィルヌーブは3部作構想を語っているから本作での成功が次作制作への後押しにきっとなるのだろう。ただ、個人的には本作で終わってくれても何の問題も感じていない。1作目だけだったならばさすがにやり逃げだろと思っていたが本作の完成度にはもう何の文句もないので。
とは言え、2作目でこちらの期待と不安を遥かに越えてくれたヴィルヌーブなら、更なる素晴らしい3作目を仕上げてくれるのでは、という期待も密やかに募りはするんだがw
