圧倒的な世界観とスケールで描かれる争いの渦中に浮かび上がる血筋の呪いや権力の奪い合い、信仰など現代にも通ずる要素が散りばめられていた。少しずつ、でも確かに近づく戦争への足音を聞きながら平和と楽園へ導こうとするポールの意思は強く感じたものの、何か見えないものに無意識に引っ張られているような、多くの選択が本当に自分の意思なのか、誰かのレールの上を歩いているだけなのではないかといった不穏さをも感じる。
サンドワームや砂漠の幻想的な美しさ、建築物や武器の造形だけでなくフレメンなどキャラクターを映しだす画面のとてつもない映像美は唯一無二であり、さらには劇伴の素晴らしさもこの世界を構築するには欠かすことができないものになっていた。
全ての要素を最高純度に練り上げることでSF映画の代表としての地位を確立し、今後も語り継がれていくであろうと強く感じる重要な作品だった。
