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デューン 砂の惑星PART2のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

先行上映をIMAXにて鑑賞。ハルコンネンに滅ぼされたアトレイデス家の生き残りであるポールが、砂の民フレメンに逃げ込んだ所までが前作。今作ではポールが砂漠で生きる術を身につけ、フレメンの一員となり、数々の預言の成就を通じてフレメンが信じる救世主「リサーン・アル=ガイブ」として砂の民を率いてハルコンネンに復讐を果たすところまでが描かれる。

本当にポールは救世主なのか?というハラハラが物語の緊張を持続させることになるが、これは「マトリックス」にもあるような預言-救世主の典型構造。母親のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)によるプロパガンダによって民がポールを救世主と信じるようになるというあたり、さらには遊び人に過ぎなかったフェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)を一夜にして英雄にする仕組まれた演出(コロシアムでの真剣勝負)等は、大統領選等に見られるポピリスティックな大衆煽動が想起された。

今作では妹アリアがまた生まれておらず、ハルコンネンに復讐を果たすのも原作とは異なりアリアではない。※超余談だが、映画が始まる前のトレイラーにて「マッドマックス:フュリオサ」が流れており、アニャ・テイラー・ジョイ砂漠で仕事し過ぎ...と思ったのは自分だけではないはず。

今作ラストではイルラン王女(フローレンス・ピュー)を娶ってポールが皇帝になるところまでいくかと思ったが、大統領家が認めないとか言い出しているらしく、続編にてすんなりポール皇帝篇が始まるのかは不明(チャニがプンスカしているシーンは多くなりそう)。

希望としてはすんなり皇帝篇として始めてもらって、預言を振りかざして戦いを止めないフレメンの暴走を前にどうすれば血が流れないようにできるのかを皇帝ポールが苦悩するような話にしてもらえると、現在のウクライナ-ロシア/パレスチナ-イスラエルを照射する作品になるかと思うので、できればそれが有り難い。

ということで、今作のストーリーはさほど楽しめなかったが、衣装や美術は相変わらず素晴らしかった。特に白眉はフローレンス・ピューが身につけていた鎖のヘッドギア。

役者陣も豪華の一言で、強い顔が揃いに揃っている。ベネ・ゲセリット(宇宙の魔女)シャーロット・ランプリングのチームにレア・セドゥが加わるとは。続編(そして恐らくは完結編なのか?)では、アニャ&レベッカ・ファーガソン&ゼンデイヤ vs シャーロット・ランプリング&レア・セドゥ、間で揺れ動くフローレンス・ピューのような構図で、女性たちの物語になると楽しそう。

男サイドでは、オースティン・バトラーの凶悪さによってデイヴ・バウティスタの小物感が際立ったのには配置の妙を感じた。皇帝を務めたのはクリストファー・ウォーケン。かつては力に溢れていたが既にそれを失い、黒幕シャーロット・ランプリングに言われるがままという役柄だから適任なのだろう。
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