壮大な叙事詩を体感するのと同時に、ドゥニ・ヴィルヌーブという作家の変遷も目撃しているようで、パート1ではまだどこか新たな才能の大きな挑戦という側面があったように思えたが、本作ではもはや現代の巨匠による世界の最注目作という印象。
ブレードランナーやパート1の、アート映画のように感じさせるようなシーンや描かれ方を、本作で感じることはほぼなく、堂々たる圧倒的映像へと昇華されていた。ただ、少し寂しくもある…。
まさに本作のストーリーで、主人公がスパイスで完全に目覚めるように、監督自身もまた、本作で覚醒したのだと、見せつけられたような映画体験だった。
しかし、ノーラン然りヴィルヌーブ然り、ハリウッドをリードする監督たちのプロデューサーが公私を共にする妻、というのが非常に興味深い。最近日本でもそんな若手、中堅監督が何人か…期待出来るということか。
