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デューン 砂の惑星PART2の散歩のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.2
映像が更に進化していて序盤の赤褐色の中をスイ~って上がっていくのを見ただけで「観に来てよかった」ってなって、その後はIMAXの劇場が揺れる位の大音響で観たことも手伝って5分に1回クライマックスを観てるような感覚でした。シャラメやゼンデイヤを中心に若手・中堅・ベテランの配置も隙が無く、どこかのインタビューで監督が映像と音こそが映画の力だという旨の発言をしていたのを見たんだけど、まさにそれを体現した作品になっていました。正直語り口はふた昔前位の実写化邦画によくあった原作の良いポイントだけを取り出してハイペースで語るっていう感じになっているんですが(多少の変更はありますが)、ここまでのクオリティでやられるともう圧倒されるしかないですね。原作よりも復讐劇と英雄譚の要素がやや強くなっていますがこのパートについては個人的にはそれで良かったのかなって思いました。まさに一大映像叙事詩でした。

ただまあ、原作を読んでいて一番魅力を感じるのはそれぞれの思惑とはかりごとの部分でヴィルヌーヴ版はその辺がかなり抽象化されているので「映像作品としての迫力に騙されそうになるけど実はよく分からない部分も多い」って感じになっているのも確かだし、ずっと重厚で気の抜けた瞬間が一瞬もないままでの2時間半以上っていうのはやっぱり疲れましたね。それとチャニのキャラクターが原作からより現代的になっていて、まあそれは分かるんですがあまりにも普通のキャラクターになりすぎているので少なくともパート2までの段階では何のためのキャラなのか、話が進むほど理解するのが難しくなってちょっと困りました。あとは、妹の存在を今作ではうまく胡麻化した感じになっていてそれ自体は作品にあっているので良かったんですが、その辺の変更によってジェシカがあまりにも強くなっているというかすべての構造の上にジェシカが立っているような感じになってしまっていて、ポールですら終始彼女の掌の上にあるように見えてしまって、個人的にここはちょっと今でもモヤモヤするものがあります。

絵的にめちゃめちゃカッコ良かったから別にいいんだけど、結局あの設定を使うんだったらフェイド=ラウサの頭は原作通りで良かったんじゃ?ハルコンネンの中での異質感も演出できるし。ただ、マジでカッコ良かったなぁ。白黒の感じも(意味分かんないけど)最高だったし。ありがとうオースティン・バトラー。
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