藍紺

デューン 砂の惑星PART2の藍紺のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.3
圧倒的迫力。視覚からも聴覚からも様々な刺激が入り込む映画体験。

まず視覚。なんですかあのハルコンネン家パートの描写は!?英断とも云うべき白と黒で統一された世界観。不吉で1ミリも心躍らない花火。禍々しくて不穏なコロシアム。いやあー、美しかった……。美しいといえば、アラキスの砂漠を爆走するサンドワームの描写も凄まじかった。勇者の通過儀礼としてお馴染みの、「ばかデカい化物を主人公が乗りこなす」シーンが登場するのも満足度が高かった。ポールが見事にサンドワームを操る場面はテンションがぶち上がる。

そこに音響もシンクロして更に満足度が高くなる。タンパーのあの一定のリズムが聞こえてくると、サンドワーム登場を待ち構える高揚感を味わうとともに心音のようにも感じられ、ジェシカの胎内にいる気持ちにもなった。

Part1では繊細で優しい王子だったポールが一転、救世主に祭り上げられ、民を扇動していく指導者となる。しかし、そのポールとて自らその地位を選択したわけではなく、ベネ・ゲセリットの教母ジェシカの思惑通りに導かれているのが面白い。そしてポールの想い人であるチャニの視点に重きを置き、最大限に彼女の苦悩を描き切っているのがドゥニ・ヴィルヌーヴのらしさ全開。ヴィルヌーヴが一貫して描いてきた女性の物語になっている所がとても良かった。

なんといっても圧巻はオースティン・バトラー演じるフェイド=ラウサでしょう。無機質で邪悪、それでいて最高に美しい。私の目が喜んでました(笑)。

私は前作より今作の方が好きなんですが、皆さんのレビューを読むと、一作目の方が良かったって方も結構多くて、本当に人それぞれで感じ方が違うんだなあと面白かったです。Part3が楽しみだけど、ヴィルヌーヴファンとしては早くDUNEシリーズを完結させて現代劇に戻ってきて欲しい…。そんなわがままを思ってしまうくらいにヴィルヌーヴが好きなのです。
藍紺

藍紺