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デューン 砂の惑星PART2のsymaxのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.8
"命ある限り、君を愛する…"

一夜にしてアトレイデス家は滅亡した…辛くも逃げ延びたポールとレディ・ジェシカは、砂漠の民フレメンの庇護の下、ハルコンネン家への復讐の機会を待つ事に…

だが、フレメンの人々は、"外から来た者"である二人を必ずしも歓迎している訳では無かった…

ポールは、フレメンの民と共に戦い、チャニに惹かれ、愛を深めて行く中、"ポール・ムアディブ・ウスル"として、メランジの採掘場を攻撃し、ラッバーンを窮地に追い込んでいく…

レディ・ジェシカは、"命の水"を飲みフレメンの新たな教母となり、救世主伝説を信じる原理主義者を巻き込み、ポールを救世主に祭り立てようと密かに動き、ポールに対し、"命の水"を飲み覚醒するよう求める…多数の犠牲者が出る未来を予知し恐れたポールはそれを拒むが、アラキスの新たな統治者フェイド=ラウサの壮絶な攻撃により、フレメンが追い込まれ、立ち上がざるを得なくなったポールは、自らの運命を受け入れる覚悟を持ち、"命の水"を飲むのだ…

待ちました…3年も…先ずは無事に続編が製作されて、こうして劇場で観れた事を深く感謝したいと思います…ありがとう、ヴィルヌーヴ…

166分もの長編となりましたが、スクリーンから迫る迫力の音、そして美しき画…SF映画の醍醐味が全て備わった世界観にどっぷりと浸らせて貰いました…あ〜満足満足…

下馬評では、スター・ウォーズの"帝国の逆襲"を連想させるとの話もあるそうですが、雰囲気的には"シスの復讐"では?と私的な印象。

原作とデビッド・リンチ版をこよなく愛する私としましては、どうしても"違い"というモノに目がいってしまい…特にゼンデンヤ演じるチャニの立ち位置の違いは良い驚きでした。

フレメンの原理主義者達が信じる救世主伝説は、所詮、外から来たベネ・ゲセリットが刷り込んだ伝説…自らの救世主は、自らで作り出すと一人抗う姿は非常に政治的なメッセージが強いのではないかと?

リンチ版が、超人になりました!宿敵倒しました!奇跡起こしました!ってな大団円な終わり方だっただけに、ヴィルヌーヴ版の奥の深さは凄い…ま、何のかんの言ってもリンチ版最高なんですが…

原作でもリンチ版でも、チャニは従順で、妾としての存在をすんなり受け入れているように見えますが、ゼンデンヤ・チャニは違う…最後まで不満を顔に出し抗っている…

チャニが、ポールにささやく"愛してる"と夢の中で、ポールの妹がささやく"愛してる"はその意味が深いだけに特に印象深いのです。

ポールは、結局、救世主となるべく運命を受け入れ、ベネ・ゲセリットが喉から手が出る程欲しがった"クイサック・ハデラッハ"として覚醒し、見事に父・レトの仇を討つことに成功しますが、その一方で手に入れたモノを手放さないといけない運命となってしまい、謂わば"闇堕ち"とも言える程の変貌を見せ、チャニの苦しみとも悲しみとも言えない表情で物語は終わるのです…いや…続くのです…

そう何と小説シリーズ二作目"デューン/砂漠の救世主"を基にした三作目を製作する模様なのです。

今回は一作目より、評価も興行成績も良いみたいなので、おそらく…おそらく三作目も出来るでしょう。

皇帝となり宇宙をも支配したポールに対して、旧勢力である帝国やベネ・ゲセリット、航宙ギルドの暗躍、そして全幅の信頼を寄せるフレメンの裏切り…ポールの没落ともいえる作品をヴィルヌーヴがどう料理するのか…数々の伏線が散りばめられていただけに、めっちゃ楽しみであります…必ず作ってね。
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