もちもち

デューン 砂の惑星PART2のもちもちのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

フレメンと行動を共にし、徐々に信頼を得ていくポール。チャニとも恋仲になり、1人のフレメンとして成長していくポールは、予言の救世主「リサーン・アル・ガイーブ」としてフレメンたちの中で神格化され始める。レディ・ジェシカもフレメンたちの教母となり、その流れを陰で進めていくが、ポールは自分が救世主となることで何億もの人が死ぬ予知夢に苛まれていた。自身の宿命に向き合い、父の復讐を果たすため、ポールはフレメンたちと立ち上がる。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるDUNEの続編。IMAXで鑑賞。面白かったとかそんな言葉では言い表せない程の映画体験だった。見たというより浴びた。映画というよりなにかもっと大きな歴史や神話を目撃したような感じ。宗教的で壮大で美しく破壊的、これほどまでに心に残る作品は滅多に出会えない。いつか自分の子供なんかに「DUNEを映画館で見た」と自慢できる日が来るような、そんな歴史に残る傑作。前作はあくまで世界観の作り込みに重点を置き、続編への序章という期待感を膨らませる感じだったが、今作でその期待を見事に満足させてくれた。大枠はポールの復讐劇かつ英雄譚というシンプルなプロットに仕上がり、前作ではなかったカタルシスも存分に得られた。そのシンプルなプロットの中に、チャニという存在が温かみと切なさという深みをもたらしており、単調な物語にはなっていない。葛藤しながらも救世主としての宿命に従い、フレメンたちを導く決断をするポールと、救世主などではなく、1人の人間としてポールを愛したいチャニ。チャニへの愛を捨て、宇宙を支配する皇帝となる決断をするポールの様には複雑な感情を抱かされる。ハルコンネン家を滅ぼし、皇帝も屈服させ、最終的に大領家連合とも戦争をする決断をし、民のために突き進んでいくポールは果たして正しい救世主なのか。ラストのチャニの複雑な表情からも、どうしてもチャニに感情移入してしまう。しかし、ポールも本当はチャニへの愛を選択したいが、未来を見通した結果の仕方ない決断なのかと思うとやるせない。「メッセージ」も「ブレードランナー2049」もそうだったけど、ドゥニ監督のラストは何とも言えない複雑な良さがある。壮大な物語を紡ぎつつ、あくまでキャラクターの内面にフォーカスし、丁寧に描き上げられている。ストーリーだけでなく、映像表現が何よりも圧倒的。どこまでも続く美しさと恐ろしさを包含した広大な砂丘、無機質で未来的な建物や飛行船やガジェット、逆に古典的で神秘的な遺跡や服装、巨大でど迫力のサンドワーム、モノクロで描かれ恐怖を煽られるハルコンネン家の惑星。挙げればキリがないほどに、全てにおいて細部まで作り込まれ、洗練された美しさのあるカットばかりだった。どこを切り取ってもポスターになるようなカットばかりだし、そのままファッションショーができるぐらい衣装も素晴らしい。芸術的なロングショットやアップショット、光の使い方、力強く緊迫感あふれるアクション、最初から最後まで圧倒され続ける。静と動が見事に融合され、次は何を見せてくれるのかとワクワクしっぱなしだった。画面を見てるだけでもお金を払う価値があると思わされてしまうような、壮麗で神秘的かつ芸術的な作品。ドゥニ・ヴィルヌーヴは正真正銘の天才。また、ハンス・ジマーの手がけた音楽も1に引き続き素晴らしい。重厚で荘厳、内臓を揺らす重低音の中に奥深さと力強さ、恐ろしさと美しさが同居していて、DUNEの世界観を見事に作り上げている。この音楽がなければここまでの作品には仕上がってないと思う。豪華な俳優陣の演技もすごすぎる。カッコよくて吸い込まれるような奥ゆかしさを持ったティモシー・シャラメは相変わらずポールにピッタリで、前作では見せなかった救世主としての力強さもしっかり見せつけてくれた。ゼンデイヤもエモーショナルでエキゾチックな美しさを持ったチャニにマッチしていたし、サイコパスな恐ろしさを持った新たな敵となるフェイド=ラウサ役のオースティン・バトラーも素晴らしかった。レア・セドゥ、フローレンス・ピュー、アニャ・テイラー・ジョイ、まさしく次世代のハリウッドを担うオールスター。ストーリー、映像、音楽、キャスト、全てにおいて素晴らしかった。
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