傑作でした。今作がブレードランナーの影響下にあることは明確とは言え、見てる途中からじわじわと、ブレードランナーを当時見て衝撃を受けた人の気持ちはこれかと思うほどのSF映画史に残る歴史的なものを目撃した感覚になった。
各キャラも今作はばっちり人間味が増して、全てのキャラが魅力的に。ふてぶてシュールかわいいハルコンネンや、こちらもすっかり可愛くなったハビエルバルデムのスティルガーなどなど。なによりオースティンバトラー演じるフェイドラウサは圧倒的。自らの快楽のみに忠実な、まさしく純粋悪な姿はただのヴィランに収まらない魅力が溢れていた。
好きなシーンを上げ出したらキリがないので割愛するけど、HRギーガーの絵画のようなメカデザイン、ハンスジマーの音楽、演技全ての側面が噛み合ったこの世界観は神話的な語りでありながら、チャニの存在によって私的な側面も感じるSF映画史に残る大傑作でした。
ドゥニヴィルヌーヴ監督の過去作はそこまでの大ハマりしてなかったが、本作は個人的に別格。
1作品目は当時スローペースとキャラの無愛想さが気になったが、今作と合わせて1つの作品と思うと、1作目も俄然好きになったし、世界観が恋しくもうすでに何度も見返し始めている。
