アオヤギケンジ

デューン 砂の惑星PART2のアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0
星を丸ごと植民地支配しようとしてくる帝国に抵抗し、英雄的カリスマを得て逆襲するが、カリスマが出たら出たでそれも怖い、複雑な心境の砂漠の民を描いた映画。長文です。
お前たちはなぜ成長しなかったんだ? とまず言いたくなる。冒頭に⚪︎⚪︎歴10150年みたいなことを言うので、少なくとも文明がおきてから一万年以上経っているのだと思う。今の(少なくともキリスト教圏の)人間の五倍の歴史である。すごいことである。年月はすごいことであるが、ここに住む人間たちはそんなに長い間何をやっていたのだろう、と疑問に思うほど人類としての叡智が積み重なっていない。科学は非常に進歩しているが、政治的には独裁か宗教による統治かのどちらかである。SFなのだしまあ良いじゃないかとも思うが、そもそもこの映画自体が権力を持つことや支配することに非常に懐疑的な目を持っており、そうであればもう少し民主的な政治を行なっている星、あるいは国を登場させても良さそうなもんである。
つまり独裁帝国による支配かカリスマ的な預言者(ポール)による支配かを選ばねばならず、砂漠の民は非常に不自由である。その中でほとんど当然の帰結としてポールの支配を望むので、今後ポールが闇落ちしたり権力に酔いしれて蛮行を働くようになったとしても「でしょうね」としか言えないような気もする。
アクションは確かに楽しかったし雄大な砂漠はナウシカを思い出したりして荘厳ではあったけれど、もう少し政治的な選択肢があった上で、それでも砂漠の民はポールを選んだ、みたいな展開の方が、その後の展開が面白くなったのではないかと思わないでもない。