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デューン 砂の惑星PART2のbarthelemyのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.7
衣装 ★★★★★
美術 ★★★★★
音響 ★★★★★
キャラクターデザイン★★★★
脚本 ★★
Zendaya ★★★★★

轟音と世界観、衣装など素晴らしい。
映画館で観てよかった。
砂の惑星と、モノクロなハルコンネン家というあまり画面ばえしない世界観であるはずだが、演出、音、精巧な衣装で楽しませる画面となっていた。

今作品で、視聴者の立場として共感できるキャラクターは、ポールでもガーニイでも、スティルガーでもなくチャニ(ゼンデイヤ)のみ。アトレイデスとハルコンネンと宇宙帝国、そしてベネゲセリット達が策謀し、、血で血を洗う戦争をするが、結局民や惑星は誰が統治しても虐げられたまま。全体主義的なハルコンネンと、狂信的なフレメンと、一応主人公ポール側の立場の映画なのでフレメンの描写が多いがどちらも盲目的で共感できない。ポールがアトレイデス家の後継として、フレメンの指導者として、皇帝として成り上がりつつも人間性を失っていく様をチャニだけが冷徹に見つめる。
核爆弾を利用して復讐するガーニイや、As writtenとしか言わない予定説原理主義のスティルガー(と原理主義フレメン)、教母となり神に堕ちたレディジェシカ(ポール母)は純粋に人をやめて聖人となるポールを祝福、崇拝する。
ただし、この映画が面白いのはポールの成り上がりを叙事詩的に描き、チャニを書く場面ごとにかなり尺をとって描写するところ。古典的なSF作品でありながら、単なるポールの神話としてではなく、視聴者を常にチャニ側に置く。それによりアトレイデス家の復讐譚であるはずが人間性の欠如というバッドエンド作品となっている。結局皇帝を膝まづかせ、DUNEを統治しても大領家に喧嘩売って、チャニはもうやってられんわ、という感じでサンドワームに乗るシーンでpart2は終わりを迎える。アトレイデス家やポールがどうなるか、というよりはチャニは幸せになるのか、という点で続きが見たくなる。今後のカタルシスの布石としての映画だった。逆に言えば、視聴者はチャニ側なのに権力を求めて民や自分自身を傷つける男達に対して冷ややかな目を向けてしまう構造は、SFアクションとしてどうなのか?もちろん、ポールや教母は神とならないと自分たちの生存が危うい、ということも分かるが。
誰かがポールとアナキンを対比させていたが、確かにスターウォーズエピソード1,2あたりだなとおもった。

余談だが、
フェイド=ラウサがサイコパスとして刃物を舐めたり、部下を殺しまくる様が古典的サイコパス過ぎて逆に新鮮。
ラッバーンを瞬殺するガーニイ、MCUではドラックスとサノスという立場が逆な点も面白い。
皇帝とサーダカーかなり強キャラなのかと思ったら出番なくフレメン達にやられていて呆気なかった。全ての未来を予知し、最善を選択出来るポールだからこそ皇帝とハルコンネン男爵の最も弱い点をつけたのだろうが。
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