鮭茶漬さん

デューン 砂の惑星PART2の鮭茶漬さんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.0
壮大過ぎる続編。広大な砂漠に沈む夕陽や、巨大生物の重量感と恐怖、スタジアムの騒々しさ。これら世界観を映像に落とし込んだ労力だけでも拍手を贈りたい。だがしかし、抒情的で序章に徹した前作から大きく展開する物語に圧倒されるものの、そもそも、この物語の本筋が分かりづらいため、ややこしい名称の場所や民族、宗教的伝統、政治体制などの説明が延々と続くのも手伝ってか、脳はフル回転だし見疲れも果てしない。緻密な政治的な展開は見事だが、この作品から影響を受けた『スター・ウォーズ』や『風の谷のナウシカ』のようなポップな娯楽性が削がれ、ビルヌーブ監督が得意とするアーティスティックな映像美に傾倒したことで、実体を掴むのが困難なのは否めない。
おそらく来年のオスカーにも多くノミネートが予想されるだろう。美少年からすっかり逞しい英雄と化したシャラメの熱演とスター性も最高だったが、それをも凌ぐ狂気をはらんだオースティン・バトラーの存在感ったらなかった。けど、彼らに共感したり、応援したり、ハラハラしたり、そういった映画体験は皆無だ。感動や興奮なんぞ一瞬たりとも存在しない。支柱無きストーリーは浮遊するだけで曖昧な印象しか観客に与えず、何となく人気俳優が出ているからで満足するには疲労感しか残らない。これを配信で見るなんぞ無駄の骨頂。唯一、大スクリーンだから映える映像体験すら感じれないのだから。なもんで、続編もあるとかないとか噂されているが、申し訳ないが監督と制作陣を変えてくれと言いたい。

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