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デューン 砂の惑星PART2のsowhatのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

【面白かった転落物語(part1)と長くて退屈な成功物語(part2)】

父を失い、家を失い、仲間を失い、残ったのは母と指輪だけ。1作目はすべてを持っているポールがすべてを失う物語で、緊張感が持続し、大変面白かったです。重厚な世界観もリアルな映像も新鮮でした。

では2作目となる本作はどうか。母子は砂漠の民フレメンに拾われたところからスタートします。ポールは仲間になるための試練に当然成功します。母は教母となる試練に当然成功します。成功するのが分かっているので緊張感がありません。1作目でワクワクした画像表現にも、もう新鮮さはありません。とってつけたようなイチャラブシーンも美しくもなければ官能的でもなく、退屈さに拍車をかけています。フレメンは男女平等でチャニの見た目も男の子っぽい。見ていてなんか気まずくなるラブシーンでした。彼女も手に入れリーダーになるというポールの成功物語はなんとも退屈。しかも「現地の女」であるチャニは、男子の本懐を遂げた後には捨てられる運命にあるのも、予知能力がなくても分かります。

ポールの予知夢の能力はなんの役に立つのかわかりません。夢を見ては逡巡を繰り返すだけで、物語の推進力を著しく損なっています。幻覚シーンも多く挟まれますが、表現は実験的でも斬新でもありません。監督はもっとドラッグ表現を研究したほうがいいのでは。

1時間半を使って、ポールは原住民たちの救世主に祭り上げられることに成功します。これも典型的な「白人救世主」物語であり、モチーフとされた中東のみなさんがどんな思いで本作を観るのか、気になります。そもそも中東系の俳優が起用されていないことに対してすでに批判の声が上がっています。純朴なフレメンのみなさんを見ていると、征服に来たスペイン人を救世主と勘違いしたアステカ王国とかインカ帝国の人々のことを思い出してしまい、悲しくなってしまいました。

後半、やっと物語が動き始めます。問題はハルコネン家のみなさんに魅力がなさすぎること。醜く、バカで、乱暴。美&善vs醜&悪。でラスボスの皇帝がまた醜く、愚かで、弱い。そんなんでよく皇帝になれましたね…。

戦い方も、銃器もミサイルも核兵器もあるのに、集団戦闘はチャンバラ。雌雄を決するのはナイフで決闘。整合性がありません。

原作を充実に映画化したのかもしれませんが、何しろ物語の構造が古臭いし映像は既視感あるしで、なんとも退屈な3時間でした。
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