鰤鰭

デューン 砂の惑星PART2の鰤鰭のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0
前作と合わせて2本で一つ。これで漸く一区切り。
2万年後の世界の大河ドラマを先取りで観ている感覚。設定と固有名詞のつるべ打ちに圧倒されるものの、話の軸としては分かりやすい貴種流離譚かつ主人公の葛藤と成長物語。チャニへの愛と未来のビジョンに悩まされながらも、一族の復讐とフレメンの未来のために自らの運命に従って救世主として覚醒していく。
この未来に縛られ必要に迫られて支配者の側面も持つ世界の救世主を引き受ける感じが、なんかかなり『進撃の巨人』のエレン的な感じだなと気づいたけど、あれもまたDUNEに影響受けてたりするのかな。
まだまだ続きそうだけど、覚醒と復讐パートはこれにて一旦了といったところ。三作目もぜひ作ってほしい。

映画として『スターウォーズ』以来の壮大なSF世界の構築力。また新たな神話を見せてもらえた。
ヴィルヌーヴの作るルックが相変わらず美しい。ジェディ・プライムの明るいモノクロ感や、墨のような花火の表現が面白い。
雄大な砂漠とサンドワームライドはIMAXフルサイズで映える。大勢での乗り方は大分謎だけど。サンドワームを使いこなすフレメンが武力的にも普通に強過ぎるのも拍子抜けだけど、抑圧からのカタルシスは気持ち良い。
そういうスケールの大きな部分もそうだけど、アナログテクノロジーのディテールの部分も前作よりしっかり描かれていて良き。

キャラクターについて、フェイド=ラウサはもっと全体的に立ちはだかる壁になるのかと思ったら、あっさり捕虜にされて最後の決闘で終わりかーい、ってなった。そんな奴の噛ませ犬な扱いに成り下がったラッバーンの、馬鹿で情けない人間味と最後のあっけなさが◎
スティルガーのキャラの変わりっぷりには笑った。気難しい族長キャラは捨て、完全にコメディリリーフになってた。盲目的な信仰もコメディとして笑える反面、最終的にはイルーランの言う通り、信仰の力が少し怖さも伴って砂の惑星を支配する。

ここからは少し分からなかったところ。
結局、ベネ・ゲセリットの教母は何がしたかったの?クイサッツ・ハデラックの誕生自体がゴールなら、どちら側とか関係なくポールが覚醒したから良かったのでは?流石にコントロール下にないとダメ?
ハルコンネンが呼んだ?大領家連合も、皇帝の行いは結局知らない?そしてアラキスの楽園化を目指す新皇帝ポールはスパイスを取れなくしちゃうから、それは望ましくないから戦争になるわけ?
そもそも数千年かけて計画を進行するような秘密結社の割には、ここにきてプランBでも良しとする空気があったり、結局ポールとジェシカ側に支配権を奪われるし、脆弱さが目立つ。

あの核弾頭はいつ仕込んだのか?アトレイデス家はハルコンネンの支配中、あるいはもっと昔にもアラキスに居たの?先祖の遺産的なこと言ってたし、とても引っ越してきてから作った設備ではなさそう。

命の水の件は伝承とか関係なくて、ベネ・ゲセリットなら解毒できるよってことかな?チャニの涙とか、砂漠の春とかなんとか言ってるけど、全部大真面目な嘘宗教で笑いそうになる。

(アニャ出てきた!次作の年齢の整合性大丈夫?)

【鑑賞回数】1
【鑑賞履歴】
・2024/3/20 🎞️グランドシネマサンシャイン 池袋【IMAXレーザーGT】
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