カバディダック

酒徒のカバディダックのレビュー・感想・評価

酒徒(2010年製作の映画)
4.3
ずっと見飽きない、良い映画だった。ほとんどが酒を飲んでるだけなのに。映像も台詞もよくできていて、ありがちなふうにはならず、主人公の葛藤と行く末を緊張感を持ってみた。資本主義時代の香港では、金を持たない人びとは苦しい、辛い。そんな中で文学への思いと生活の葛藤は身にしみる。出てくる女の人たちも、みな苦しんでいる。

2010年にこんな映画が作られたのが凄いと思う。日本で、数十年昔が舞台で、ほとんどのシーンが、おじさんが酒を飲んでいろんな女の人と話しているだけ、という映画が作られるところは想像できない。メジャーなら「孤独のグルメ」みたいなコメディになり、インディーズなら主役は若者かせいぜい四十代になってしまいそう。

もちろん原作が有名で、また現在の香港にとって過去が持つ意味が違う、ということだと思うけれど。

香港映画祭2021にて。上映に感謝。