ふじこ

ザ・ドールメーカーのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ドールメーカー(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

亡くなった息子の両親が、亡くした者の魂を人形に吹き込む事が出来るドールメーカーへ依頼。
出来上がった人形は一見大変粗末なものに見えるけれど、触れると一転してまるで生前の姿でそのままそこにいるかのように思わせる。
訝しむ夫には、今までに返金を求められた事はありませんよ と自信を見せる。

その人形にはルールがあり、家の外に出た瞬間に認識が人形に戻ってしまう事。
与えられた砂時計の砂が落ちきるまでに箱に戻す。戻したら1日そのまま寝かせておく。
それを守れないと段々と悲劇もドールメーカーの事も対象が人形だった事も忘れてしまう。
と言い残して帰っていく。


ってお話。
まぁそうなんだろうなって感じのお話だったんだけども、上記の砂時計の説明をしている時に砂時計の中でイメージ映像が流れるんだけれども、ちゃんと観ると母親が息子の人形に依存しすぎて、注意した夫を振り払って砂時計が割れてしまうところがしっかり描かれている。
そして最後に息子の葬式のお話をした時に 誰のお葬式?とまで認識が歪んでしまった妻を外に連れ出して現実を見ろ!と突き付けるのだけれど、その妻もまた人形に戻って崩れ落ち驚愕する夫。
回想では息子の人形に依存し続ける妻から取り上げたところ妻が現実に耐えられずに自死。
息子の死を一緒に乗り越えたかったけれど、妻まで死んでしまった事に耐えられずに夫は妻の人形を作成。
しかし同じように依存するようになってしまい、ドールメーカーの"返金を求められた事はありません"の台詞と、壊れた2つの砂時計の中で家に戻って人間の姿になった妻を抱き締める夫で終わり。
よく出来てるなぁってなる一本。

ドールメーカーは"薬ですよ"みたいな事を言っていたけれど、よく言われる時薬ってやつは、部屋や持ち物やかつての思い出を時折思い返して、しかしあぁもういないのだ と少しずつ認識して受け入れて…ってプロセスがあるからこそ薬と言われるように癒されていくものだと思うんだけど、この人形の場合は全く姿形は失った人と同じ、感触も触れている間はきっと本物なんだろう。それで果たして癒されるんだろうか。触れればすぐそこにいるのに、何度も喪失を味わうだけのような気がする。
なんだかこう、[ 笑ゥせぇるすまん ]的な…しかも別に本人は悪くないのに勝手に喪黒がアイテムを与えてきた上でドーン!されるパターンみたいな味を感じるなぁ。依存してしまったのは妻なんだけど、せずに居られるか?って言うと自信を持てる人の方が少ない気がする…。
どっちにしろ悲しい話だなぁと思う。
現実で言うと、亡くなったペットのクローンを作ってる中国みたいな感じかな…。あれも同じ姿形なのに同じじゃないところを見つけて悲しくなっちゃいそう。手を出したくなる気持ちは痛いほど分かるんだけど。
ふじこ

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