かなかな

カッコーの巣の上でのかなかなのネタバレレビュー・内容・結末

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

仕事が医療従事者なので、この映画を観て思ったのが、今は良い時代になったなと言う事。現代は医療技術の発展だけではなく、考え方もだいぶ当時と変わり、患者主体の医療が行われるようになっている。

まず、割と序盤の方でなんの説明も無く良くわからない薬を渡されて、飲めと言われる。マクマーフィーはなんだかわからない物は飲みたくないと言う。現代ではこのマックの感覚のほうが普通だと感じるし、ああ言われたら医療者としては患者に隠さず説明をするのが当たり前で、説明無く飲ませることに違和感しか感じなかった。でも、当時は割と良くある話しだったんだろうな。
今では考えられないけど。

昔は患者よりも医者が一番偉いという風潮があったし、癌なんて病名を知らされずに治療を受けるなんて良くある話しだったわけだし。

でも、こういう映画などの功績もあって医療倫理という考え方が広まったのかもしれないと思うと、世に広く患者の権利や尊厳を訴えたという意味ではすごく意義深い映画だと思った。

なんて事を感じながら観た。

そういう視点から考えると、この映画の登場人物の中では、どうしてもマックが1番人間らしくまともに見えてしまうし、なのに人間らしさが乏しい人達の中にいたために、脳をいじられて人間としての大事な部分を奪われるという最後にはほんとに衝撃だったし、悲しさを覚えた。