たけちゃん

カッコーの巣の上でのたけちゃんのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.5
みなさん、お薬の時間です……


ミロス・フォアマン監督 1975年製作
主演ジャック・ニコルソン


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、7月1日は「こころの日」だそうです。

1988年7月1日に施行された「精神保護法」にちなんで、10年後の1998年より"精神疾患や精神病患者に対する正しい理解とこころの健康の大切さを考えてもらうため"に、7月1日を「こころの日」と定めたそうです。

「こころの日」って知って、最初に思い浮かんだのが「カッコーの巣の上で」でした。
精神病を扱った映画は他にもありますが、今日はこれしかないと僕の"こころ"が訴えるので、今日はこちらをレビューします( ̄^ ̄ゞ







さて、映画です。
いや、衝撃!
これを観終えて、最初に思うのは、狂った人間は誰なのか?ということですよね。

原作はケン・キージーの小説「カッコーの巣の上で」
「カッコーの巣の上で」っていう言葉は、マザーグースにあるそうです。マザーグースは日本人にはちと辛いんですが、その文化で育って人には、子守唄のようなものですからね。常識なのかな。

ケン・キージーって、ヒッピーコミューンの「メリー・プランクスターズ」のリーダーとして知られるそうで、"Further"号と呼ばれるバスに乗り、LSDを広めるツアーをしたそうで、なんと、これが先日レビューした「マジカル・ヒステリー・ツアー」のモデルになったとか。知らなかった話でしたが、ここでレビューが繋がるとは!

小説は、彼が学生時代に薬の実験台になった経験に基づいているそうです。
そこから精神病治療について疑問を持ち、そうした患者についての本を書いたそうですよ。
今作ではロボトミー手術についても触れられていて、この歴史的事実に驚愕しますよね。ロボトミーについては、以前、「エンジェル・ウォーズ」のレビューでも書きましたので、興味があれば見てみてね。


今作の製作にはマイケル・ダグラスの名前があるけれど、元々は父親のカーク・ダグラスが原作に惚れ込んで権利を買い取り、舞台で演じていたようです。
それから映画化も考えたようですが、なかなか難しく、息子に譲ったようですね。
マイケル・ダグラスは今作でアカデミー賞作品賞を受賞しています。


監督はミロス・フォアマン。
大好きな「アマデウス」の監督です。
今作も素晴らしかったですね。
当時はまだ売れていなく、予算のない映画にピッタリとして選ばれたらしいです。凄いなぁ。
今作でアカデミー賞監督賞を受賞しました!


低予算もあり、キャスティングに関しては有名な俳優を使わない方針だったそうですが、今観ると名のある方が多数!今作で花開いたのか!

今作の主人公、マクマーフィ。
主演のジャック・ニコルソンは今作でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
こんなこと言うの、僕だけかもしれないけど、ジャック・ニコルソン、改めて観て、「七人の侍」の三船敏郎のようだなぁと思いました。
ちょっとイッちゃってるのに説得力がある。
こういう演技ができる人、なかなかいないですもんね。


マーティーニ役のダニー・デビート
まだ、ダニー・デビートらしさは出ていないけれど、舞台でも演じた役で映画に抜擢されたようですね。


ビリー役のブラッド・ドゥーリフ
吃音の精神病患者って難しい役なのに、さすがでした。
今作でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。
僕、ブラッド・ドゥーリフ、好きなんです。
記憶にある最初は今作ではなくて、「Xファイル」でのゲスト出演だと思うんですよね。すごく印象的な役で、演じたブラッド・ドゥーリフの名前も覚えました。
その後も癖のある役が多いので、出ると必ず分かりました。「ロード・オブ・ザ・リング」もよく覚えてるなぁ。

また、この役の吃音の演技も印象的ですよね。
ビリーが男になって戻ってきた時、自信に満ちて、吃音もほとんど無かった。でも、母親の名前を出されて責められた時、症状が悪化していましたよね。彼の吃音の原因が垣間見えました。


テイバー役のクリストファー・ロイド
これがクリストファー・ロイドのデビュー作です。
目が印象的ですよね~。
やっぱりドクはここでもドクでした(ˆωˆ )フフフ…


看護師長ラチェット役のルイーズ・フレッチャー
彼女は今作でアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。
この役を演じる女優がいなくて、キャスティングに難航したそうですよ。
今作以外は端役が多いのかな?


そして、チーフ。
演じたウィル・サンプソンは、マスコギー族の出身とありました。巨木のよう先住民を探して見つけたという印象的な体躯ですから、存在感抜群。
ある意味、彼の映画でもありますからね。




精神病院の映画ですから、最初に出てくる人々は、みんな少し異常性があるのに、マクマーフィと触れ合ううちに、みんな人間らしくなってきたところに上手さがありますよね。

心って、何だ?
狂っているのは誰だ?
そんなことを深く考える作品でした。
「こころの日」に相応しい作品が観られました( •̀ω•́ )و✧