福野ふくろー

もっと超越した所へ。の福野ふくろーのレビュー・感想・評価

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)
4.8
面白かった!!

4組の男女の群像劇。
欠けまくっててキャラの立ったそれぞれの男女が、スピーディにコミカルに描かれていく。

言葉や音、視覚でどんどん場面をリンクさせてく描き方は、全く飽きない。こちらをどんどん惹き込んでくれる。

でもだからといって、現実から逃げずに、しっかりその人そのもので、実際にこの世に居てもおかしくない。というか、居る。そのくらい緻密に積み上げられる。

だからもう全員が、欠けてて、もがいていて、愛しくてたまらない。

特に伊藤万理華演じるみわと、オカモトレイジ演じるたいぞうのカップルが好き。
たいぞうが「やっぱホワイトデーと言ったら、お揃いのアクセサリーっしょ!」と言って、口に嵌めるグリルズをプレゼントして、5万って値段まで伝えるシーン。グリルズをアクセサリーと認識してるのも、そんなものに奮発してるのも、値段言っちゃうのも全部可愛い。
それを2人でいえーい!って楽しそうに呼応してるみわもいい!なんて最高な2人なんだ。2人とも愛しすぎる。こんなカップルがいい。

別れてスッキリする凡百のドラマと一線を画すところもまたいい。
女性側が自分を棚に上げて、嫌なところが際立ったから強めに分かれる、という強めに発言してる女性描いたらスッキリするでしょ?で終わらせずに、ちゃんと棚に上げた自分を省みて、妥協という強めのワードから好きって瞬間があればいい、いや、お米を持ってもらうとだけ思えば妥協できるという、どこまでも限りなく現実的な落とし所にたどりついて終結する。
そのたどりつき方もどこまでもコミカル。バランス感覚がエグすぎる、最高。もうここのところは、にべもなくぐんぐん惹き込まれる。ラストスパートでアドレナリンでまくり。みんな元鞘に戻ってフィナーレ。
こんなに始まりと終わりだけ見たらつまらない、なのにこんなにハラハラさせる展開あるのか。最高すぎる。

本当いい映画でした。これらオールタイムベストに入りそう。またみる!!

【蛇足】
欲を言えば、これは完全に好みだけど
ここまでリアリティを積み上げたものを見せてもらえたので、最後の最後は、リアルのまま終わって欲しかった。
いや、これでももちろん最高なんだけど
そこまで離れちゃうのは勿体無いと少し思っちゃった。

菊池風磨演じるれいとの「大好きだったよ」が棒すぎて少しノイズだった。

この監督さんの「傷だらけの悪魔」が、同じ監督さんがとったと思えないくらい経路が違う。そっちを先に見てあまり入り込めなかったので、ウォッチリストに入れてたのに見るのが遅くなったくらい。観てよかったー!