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アンビュランスのharunomaのレビュー・感想・評価

アンビュランス(2022年製作の映画)
2.3
冒頭、出発するまで、ひさかたぶりのアメリカ映画かと思っていると、ヒートのような銃撃戦はいまいち消化不良というか、プロではない犯罪者集団が作戦も統率も上手くなく(物語上布石はそれもそのはず)、撮影する方も同様にダラシがない。
マイケル・ベイに監督を期待しないといけないほどにハリウッドは弱っている。
重体の警官を乗せ、人質にとる逃走劇は、しかしなぜ救急車なのか、救命救急師の急場しのぎの手術まであるが、映画としてリミットのなさが見え透いてしまうのは、スピードとだいぶ違う。終始煽る音楽も煩く、もはや緊張感とは別。まずは犯罪集団の数人はプロフェッショナルを揃えていただきたい。そもそも久しぶりに再会した弟ではなく、仕事上の相棒がいるはずだろうチームに。

ただただキレているジェイク・ギレンホール、目も当てられない挙動不審な演技のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世?、こんなものを見るために映画は存在しない。相対的にキャラクターの勝ち気な仕事をしているエイザ・ゴンザレスはよかった。LAPD,FBI,SIS(ロサンゼルス市警察特殊捜査班)?なんでもいる。
ちょいちょい挟まれるギャグ(サンダル、ナンパ、犬など)も笑いなのか本気なのか判断し難い。
後半、マフィアがからんでようやく凄惨な事態になり、まだ見れる。やはりプロが参加しないと面白くない。でもなんだあのスローモーションは。
最後まで意味不明な混乱ぶりが、世相を表している。ダメだ。これはワイルドバンチではない。最悪のテレンス・マリック風。アホか。犯罪が大掛かりすぎて当初の動機が霞むし、妻を助けるためにというなら、別な話を作るだろう。

ジェイク・ギレンホールはそろそろデビュー作の「ドニー・ダーコ」に戻ったらどうだろう。企画の選択のセンスを疑う。
「ドニー・ダーコ」は素晴らしかった記憶がある。
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