コマミー

ウーマン・トーキング 私たちの選択のコマミーのレビュー・感想・評価

4.1
【赦すか…闘うか…村を去るか…】





これが"2010年頃"までに起きていた事だなんてゾッとした。

"閉鎖的な村"で起きた、"女性達への連続レイプ事件"。しかし、"村の男達"はそれを「悪魔の仕業」などと仄めかし、実際の加害行為は亡き者とされていた。私はこの光景を見て、やはり閉鎖的な環境での"男の支配"はいつの時代も尋常ではないのだなと感じた。2006年には既に始まっていた「Me Too運動」だが、"南米ボリビア(この物語のモデルとなった舞台)"ではこんなに"静かな女性たちの連帯"が繰り広げられてたのかと驚きであった。

レイプされた女性達の"フラッシュバック"のような映像も凄まじかった。そして参加した女性達の様々な言い分にも、加害性のある男性たちが村に帰ってきた時に抱く"恐怖"や自分を壊した男達への"憎悪"が見えており、この3つの決断…いわゆる男を"赦す"か、はたまた"立ち向かうか"…または村を"去る"かを決断するにも当然ながら簡単にはいかないのだなと痛感した。
そしてこの集会の中に唯一参加している男性"オーガスト"。彼の存在や見解は、少なくともこの女性達にとって"希望"になるのではと感じた。危害を加えてくる男が多い中で、女性達の意見を冷静に受け止める存在。それがオーガストであり、恋人である"オーナ"にとっても心を許せる存在であることは間違いない。

撮影サイドの話になるのだが、映画界に復帰した"サラ・ポーリー"のリーダーシップには心から感服した。詳しくは、VOGUE JAPANの記事を載せとくので見てほしい( https://www.vogue.co.jp/article/women-talking-sarah-polley )のだが、これは今問題になっている日本の某性加害・パワハラ映画監督・演出家に見習ってほしい、作品づくりだなと感じた。これはサラの女優時代の経験を元に培った、リーダーとしての正解だなと感じた。

これは女性はともかく、全ての性の方に見てほしいなと感じた。描写は熾烈なので、必ずしも観てとは言わないが、限られた場所・限られた時間の中で、人としての生き方を手に入れる為に女性達で意見を交わした歴史的な瞬間である。

ラストを見た瞬間、私は男性として心から全ての女性達が人間として扱われる未来が早く来てほしいと願わずにはいられなかった。
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