コーディー

ウーマン・トーキング 私たちの選択のコーディーのレビュー・感想・評価

4.0
心も体も破壊され続けた女性達がようやく手にする対話という手段。忌まわしき支配と許容できる筈のない傷み、その狭間で鬩ぎ合い模索する私たちの世界。それぞれの想いが交錯しながらも、これまで思考さえ許されなかった彼女達の過熱する議論に胸を抉られる。
凄く好き!

個人差はあれど受容や赦しにより平穏を得ようとする女性もいたり、この悍ましい慣習や教義がまかり通ってきた社会、沈黙の歴史を痛烈に語ってて苦しい。
そしてこの信じ難い現実を過ちの歴史という枠から解き放ち、唐突にそこにあるものにするある転換。その衝撃とは裏腹な軽快さは目眩がする程でした。

恐れや不安、過去に縛られながらも次の世代を見据え、肝も据えて今決断する。〝何もしないは論外〟という信念と共に薄暗い納屋から道を拓き、新たな共同体となっていく様子に胸が熱くなった。
豪華な女優陣も誰がとかじゃなく、ひとりひとりが胸に刻まれる存在感で、全員が漏れなく素晴らしかったし、唯一の男性として決して議論には参加しないけど、様々な理由で彼にしかできない役割を任されるオーガスト。演じるベン・ウィショーの憂いを纏いながらも静かに彼女たちの選択を見守る様子がもう堪らなかったな。