Aya

ウーマン・トーキング 私たちの選択のAyaのレビュー・感想・評価

3.8
#twcn

『私は死ぬ』ってババアが言った時めちゃ笑った。

まあ、ババアのいう通り真っ直ぐ進むときって、野球とかのピッチャーがボールを投げるときもそうなんですけど手元ではなく先を見ないとストレートには進まないんですよね。

てか、あの、いや、あの、びっくりするから。

あの、ほら、わたし、前情報シャットダウン過激派じゃないですか?

敬愛する"サラポ姉さんの新作"としか知らなくて。
ポスター見てもどこの国の映画なのかもわかんないし。

どーんと

PLAN B

のロゴが出た時に『マジで?!』となったしファーストカットから不穏過ぎる画。
そして起こったことを知る…わたし普段こういうことあんまりないんですけど

マジで退席しようかと思った。

しんどすぎる。

なんの準備もしてなかったのでいきなりあんな暴力を見せられて本気で具合悪くなった。

でも、

でも、

最後まで観てよかった(´;ω;`)

こんなに晴れ晴れとした気持ちでシアターを後にするだなんて…

どっかの国の電気とか水道とか通ってなさそうなあるコロニーにて起きた事件。

女性や子どもに家畜用の麻酔薬を飲ませ、昏睡状態にして行われるレイプ。

コロニー"男"による暴力ではなく"悪魔の仕業"とされ、ただの”不幸”と位置付けられていた。

スクリーンに映る女たちは淡々と語り始める。

何が起こったか?

これまでどうしていたか?

これからどうするのか?

を議論する、映画だ。

つまり意志を持った映画。

"女"

が。

あまりテーマとして神や宗教まで言及がなかったのですが、そもそも論"神"は"男/farther"なのか問題まで触れてたら凄かったな。

そこまで期待しすぎるのは野暮か。。。

今回は"女"が意志を持ち行動するお話。

びっくりするのがこのお話、2010年に起きた実話小説があるんですって…
めちゃ最近やん!

てかどこの国の話なの…サラポ姉さんだからカナダの話なのかPLAN Bだからアメリカの話なのか…ぼんやり考えつつアーミッシュではないよね?とか考えてました。

"赦し"

というテーマもあるのですがどちゃくそカトリックの思想ですよね。
日本人には難しいよ…

ていうかていうかていうか!!

ウィショさんにネルシャツ+オーバーオール着せるなんて誰が考えたのよ(´;ω;`)
天才かよ!
エンドロールに振り込み口座番号書いといてよ課金するよ!!

この女だけの空間にいる唯一の"男"がベン・ウィショーって凄くないですか?
おめでたいことにウィショさんが同性パートナーのマークさんとオーストラリアでご結婚されてちょうど20年目。

もうほかのキャスティング考えられないもん…

しかもウィショさんが"I'm sorry"って言ってるのめっちゃ久々に見たよ…
いつも"I apologies"ばっかじゃないか…ブリティッシュガイって感じですよね✨

っと、画面に映る度にヲタク心をくすぐるベスト・ベン・ウィショー映画なのは間違いないとして、お話ですよお話。

このコロニーで"女"は教育を受けない。

字を読めないし書けない。
必要がないとされてきた。

しかし、神に祈ることはできる。
必要があるとされてきた。

"女"たちは3つの選択肢から答えを選ぶことにした。

・現状維持
・残って闘う
・コロニーを去る

『残って闘う』と『コロニーを去る』が全"女"の投票で同数だったため、3つの代表家族で話し合いをすることに。

老若混合の"女"たちは『去る』or『闘う』のどちらを選択するのか??

まず多数決という方法論が用いられているのは利点ですよね。
この公平さが最初から担保されてるのは大きい。

だからこそ意見交換ができるわけで。

わたしが一番好きなキャラクター"ファイティング・ウィズ・マイ・ワイフ"クレア・フォイが最後まで持ってく持ってく。

ウィショさんも何を渡すのかと思えば…

見込んで被害に遭い、妊娠してしまったルーニー・マーラがお話を引っ張っていきます。
ウィショさんともいい感じっぽいです。

"女"たちは文字を知らない。
しかし言葉と思考、祈りと赦しを知っていた。

学んでないわりに論議が非常にロジカルでロマンティック。
それぞれの利点と欠点を書きだし、どちらの方が"子どもたち"にとってよいか?
どちらの方が"女"たち、そして来るべく"女"たちにとってよいか?を話し合う。

コロニー以外の世界を知らない"女"たちから質問される大学出の教師ウィショさん。

"男"の"子ども"は何歳か?

今回の事件は加害者がコロニーのほとんどの"男"である。

恐ろしすぎない?
あの人もその人もあの人の旦那さんもその人の子どもも"男"はすべてレイプ犯…

なにこのコロニー…地獄?

最初は"悪魔(evil)"の仕業とされコロニーで有耶無耶にされてきた暴力。

ふたを開けてみたら同じ"人間"の仕業だった。

しかしおなじ"人間"ではあるがおなじ"女"ではない。

敵は"男"か"人間"か…

そしてそれが延々続いており、これからも続くかもしれない…地獄と呼ぶにはあまりにも罪深い…

どうする自分なら?

知らん間に犯されて妊娠でもしたらまた新しい"被害者"か"加害者"を生むの?

妊娠せずとも身体を傷つけられて『仕方ない』とか言われても…

そして議論する"女"たちは選択肢のひとつである外の世界を知らない?

未知の場所へ旅立つ準備と覚悟はできるのか…

珍しく持っていたティッシュ一袋びちゃんびちゃになるくらい泣きまくってシアターを出るときにズビッと鼻を啜ったら他の観客の方に笑われたじゃないですか( ノД`)ノ

劇中はうるさいと思って鼻をすするの我慢してたの…ちなみに1日経っても鼻がおかしかったですw

他人事じゃないよ女なら。

母親なら。

彼女たちの議論と選択の尊さと勇気をもらいました。

我々の可能性は計り知れない。

映画の女たちを励ますように素晴らしい映画を作ってくれたサラポ姉さんに改めてお歳暮送らなきゃ!ってなりますよね。

静かな映画が多いけどほんと深い。

最近はいい俳優がいい映画監督・脚本家になる例が続いていて非常に喜ばしいですよね。
ハズレがほんと少ない。

ヒドゥル・グドナドッティル"Hildur Guðnadótti"さんの名前読めない…Åついてると諦めちゃう(T_T)


日本語字幕:伊原 才子
Aya

Aya