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ウーマン・トーキング 私たちの選択のmakoのレビュー・感想・評価

4.0
《赦すか、闘うか、それとも去るか―》
◎80点

第95回アカデミー賞 脚色賞受賞🏅

フランシス・マクドーマンドが映画化権を獲得し、ブラッド・ピットの制作会社PLANBへ持ち込んだ。
原作: ミリアム・トウズの実話を基にした同名小説。
監督・脚本: サラ・ポーリー。

予告編を観た時、19世紀頃が舞台かと思ったら2010年が舞台と知り驚いた。
自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きた連続レイプ事件。
アーミッシュかと思ったらメノナイトだそうです。
電気や機械など、現代的な物を出来るだけ使わずに生きているコミュニティ。
現代的な物がなく、服装が古風だったのはそういう事か。
実際の事件は2005年~2009年、ボリビアのメノナイトのコミュニティで起こった。
ミリアムは実際の事件に対する「想像された返答」として、小説を書いたそうです。それを基に映画化されているので実際の事件とは異なりますが大筋は同じ。
実際の事件を知りたい方はこちらの記事をどうぞ👇
https://front-row.jp/_ct/17615000

実際の事件は置いておいて、本作の感想は、女性の人権が軽く見られている、いや無視されていることに憤りを感じました。
牛用の麻酔で眠らせてレイプする。
翌朝、体に身に覚えのない痣や痛みを感じる女性たち。
年齢層は幅広く少女から60歳まで。
それを訴えても「悪魔の仕業」「作り話」と、男性たちによって否定されていた。
おいおい、そんな訳ないだろ!
ふざけるな、と思った。
でもある日それが実際に犯罪だったことが明らかになる。

男性達が街へ出かけている2日間でどうするのか話し合う。
〈赦すか、闘うか、ここから去るか。〉
宗教上のこと、これからの生活、そして少女たちの未来を考える。

タイムリミットが迫る中、話し合う代表者たち。
彼女達が下した決断。
決断から行動まで、彼女たちの緊迫と緊張がそのまま伝わってきた。
女性たちの決断は希望に見えました。人権と尊厳を取り戻すために。

黙っていては何も解決しない。
困難だろうけど、立ち上がる勇気を持って行動しなければいけない。
小説が実際の事件に対する「想像された返答」だと知った時に、本作に納得しました。

劇中で印象に残った台詞。
「何度も赦した」
「赦しは許可と混同される」

赦すと許すの違い。
「赦す」は、「罪を犯した相手を罰しない」という意味
「許す」は、「相手の願いや申し出を受け入れる・そうすることを認める」

女優陣の演技が素晴らしかったです。会話シーンが多いですが、見応えがありました。

【追記】
代表者の話し合いに参加する女優陣は、ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ジュディス・アイヴィ、フランシス・マクドーマンド。書記役として男性が1人。ベン・ウィショーが演じています。



字幕翻訳: 伊原奈津子
観客 1階席 ?、2階席 1人
劇場鑑賞数 #79
2023鑑賞数 #87
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