おなべ

ウーマン・トーキング 私たちの選択のおなべのレビュー・感想・評価

3.8
◉「闘う」 or 「赦す」 or 「去る」

◉2010年、キリスト教一派の村にて連続レイプ事件が発生。犯人は村の男と判明し、8人の女性が代表となり2日間という限られた時間の中で男の処遇を話し合う事に…。

◉第95回アカデミー賞にて、〔作品賞〕にノミネートし〔最優秀脚色賞〕を受賞した作品。本作は《フランシス・マクドーマンド》がプロデュースし、企画が実現した。

◉男性として深く考えさせられる作品。“ウーマンリブ”・“MeToo運動”・“BringBackOurGirls運動”etc…世界中で巻き起こるジェンダー問題の波に相乗りするように、日本でも表向きは男女平等を謳っていても、社会のあちこちに未だに根強く残る女性格差。記憶に新しい《伊藤詩織》さんの性暴力被害を受けた事件も、民事では330万の賠償請求で勝訴するも、刑事告訴は叶わず。彼女に対するSNS誹謗中傷はおろか、その投稿にイイねする衆院議員がいる国で我々は生きているという事に、切なくなる今日この頃。

◉つらつら正論を述べて達観してるつもりでも、自分にも無意識バイアスが働いている可能性がゼロではない事を常に認識しなければいけないとも思ってる。ただ、制度を作って終わりの形骸化した今の日本の状況を見ると、戦時中でもあるまいしホントにお偉い様方は一体何をしてるんだろうと疑いたくなる。そういう意味でも、まずは男性過多の現体制をぶっ壊して欲しい。Z世代は切実にそう思ってる…。

◉本作を観て考えさせられる女性としての尊厳。単なる性被害事件ではなく、そこには当人や周りの人々の怒り、そして信仰が絡み付き、より複雑化している。何が正しくて、何が間違っているというように白黒つけられない難しい問題に真正面から向き合い、怒り、悲しみ、葛藤し、最後に導き出した“選択”(結論)に、変革の兆しと議論・対話・教育の重要性をひしひしと感じた。
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