ILLminoruvsky

ウーマン・トーキング 私たちの選択のILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

4.0
原題『Women Talking』 (2022)

監督・脚本 : サラ・ポーリー
撮影 : リュック・モンテペリエ
編集 : クリストファー・ドナルドソン、ロズリン・カルー
音楽 : ヒドゥル・グドナドッティル
出演 : ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ジュディス・アイヴィー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド、他

2005年から2009年にかけて南米ボリビアで実際にあった事件をもとに執筆されたミリアム・トウズの小説を原作とした、2010年の架空の村を舞台に、人里離れた場所でコミュニティを営んでいたキリスト教の一派、メノナイトに属する性被害にあった女性たちが、自らの未来のために話し合いを重ねていく姿を描いた「フェミニズム」映画。

「現代の寓話」映画。
そして、
「尊厳を奪われた女性たちの意志」映画。

孤立した宗教コミュニティの女性たちが性的暴行の後遺症に対処する過程で繰り広げられる、赦し、正義、信仰に関する複雑な議論と分断、様々な意見と立場からの緊張感ある立体的な会話劇で描き、赦しを受ける者の責任が軽く見られ、赦す者ばかりが赦しを押しつけられる不平等な状況を、女たちの会話を通して問題化し、構造的変化、不平等と暴力をつくり出す構造そのものを変えることを観る者に訴えかける作品で、キャスト陣の演技、彼女達の置かれている状況を表現したような彩度の低い映像ルック、美術、衣装による世界観の作り込みも素晴らしかったです。

今の女性達への「寓話」映画として現代的な見事な出来に仕上がっていると思います。
男性こそ観る一作なのかもしれません。

そして、ここでは宗教コミュニティですが、現代の大小関わらず多種多様に存在する閉ざされた環境の社会は、その権力者によって非常に左右される危険性を改めて考えさせられる寓話にもなっている

あと、シドニー・ルメット『十二人の怒れる男』などが好きな方にもオススメ。
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