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マリー・ミーのumisodachiのレビュー・感想・評価

マリー・ミー(2022年製作の映画)
4.2


こちらも飛行機で鑑賞。

大スターのカットは自身のライブで大々的に婚約者との結婚式を挙げようとしていたが、コンサートの最中に婚約者の浮気が発覚。ブチ切れた勢いで客席にいた数学教師チャーリーにプロポーズをする。その場は盛り上がったものの、あまりに滅茶苦茶な展開に世間は戸惑う。しかし、PRチームはむしろこの騒動をイメージアップに利用しようとチャーリーに協力を要請し……。

今の時代に観るのが新鮮な王道ラブストーリー。まさに「ひょんなことから」発生した恋愛であり、「嘘から出たまこと」。しかも、途中でちょっぴり不安になるくらい順調に惹かれあっていくのが良い。敵意むき出しで邪魔してくる人もいないしね。でもって、それが新しいといえば新しいかもしれない。

ラブストーリーの起承転結は「起」と「転」の比重が重くなりがちで、特に「転」が深刻ならば深刻なだけ盛り上げるところがある。しかし、本作は8割方「承」に振っている(イメージ)。カリスマ的な魅力がありつつも、若い時から大スターだったから世間知らずのカット(だけど良い人)と、常識的な大人でちょっと面倒で煙たがられがちなチャーリーが少しずつ歩み寄り、互いに惹かれていく過程がめちゃくちゃ丁寧で長い。でもって、その描写がいちいち心地良い。ジェニファー・ロペスもキュートだし、オーウェン・ウィルソンも地に足着いた素敵さがあって。スピード感もなんかリアルなんだよなー。現実的とはとてもいえない設定なんだけど、大人の恋愛としてはとてもリアリティがある。

よく考えたら上手くいく恋愛って「転」がなくて「承」がほとんどなわけだから、本作みたいな配分こそがリアルなラブストーリー(ハッピーエンドの)だともいえるかもしれない。一目惚れといった激しいものではなく、対話を通じて相手を知りながら静かに盛り上がっていくのが◎

とういわけで、派手派手な見かけの恋愛映画だけれど、蓋を開けたら比較的地味な構成の作品だったという嬉しい驚き。良い気分になりたいときにおすすめ。
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