さ

ここではないどこかへ わたしが犯した罪と罰のさのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

傑作。

普通は映画の主人公が一番正しいのだが、途中までは彼女の味方をしたくなりながら、後半は彼女についていけなくなる。彼女の生い立ちや先生を慕う背景に同情を寄せたのに.....最後、新たな人生を歩んだかに見えた主人公が、なお空虚なまま現れて青年を誘惑?しようとする場面に、底知れぬ悲しみに触れた気がして涙が止まらなかった。

主人公演じる古川いおりの演技力の高さはかねてより織り込み済みだが、それを遥かに超えて来て震えてしまった。。舞台挨拶でも難しかったとされた、憧れの先生(川瀬陽太)との交わりの後の空気....こんなものが出せるなんて天才か。。「監督の指示もなく、自分で考えた」そうだが。。

はいはい、わかりました。コレがこうなってこうなってこうなるヤツですね?もう見なくてOKです。とか思ってたら全部先回りされて裏かかれた感のあるホン。一体どうやったらこんな構造が思いつくのか。。感情の起伏のコントロールが絶妙。若干の文学のニオイを含んだエンドマークも素晴らしかった。

0.2点足りないのは、前半が類型的な走り出しなので若干モタつくのと、音楽の繰り返しが若干しつこいのと。モチーフにテーマ性をもたせたいのは分かるが、何箇所か無い方が整理されて見やすかった。それ以外は完璧では。。
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