『あの夏のルカ』のスピンオフ短編作品。
前作ラストでマッシモの元で暮らすことになったアルベルト。2人のギクシャクとした関係が描かれる。
父親の蒸発という暗い過去を持つアルベルト。一度味わったその孤独さから新しい親となったはずのマッシモに対しても、捨てられる恐怖を感じてしまう。何とか役に立ちたいと思う程空回りして迷惑をかけてしまう。マッシモもまたその不器用さから父親となった事の覚悟を表面に出せる訳もなく、愛情がうまく伝わる事も無かった。
2人のその心のすれ違いを解きほぐす出来事としては弱い展開に感じるが、心の問題という中々解決し難いことに焦点を当てることは流石。前作で新しい親子となった2人だったが、そりゃそんなすぐにはめでたしめでたしとはならんよな、と改めて心の難しさを知る。
アルベルト目線とも思われる『あの夏のルカ』というタイトルに対して、『アルベルトの手紙』というルカ目線とも読み取れるタイトルにエモさを感じる。