まくないと

変わらぬ愛でのまくないとのネタバレレビュー・内容・結末

変わらぬ愛で(2021年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

外出許可を貰い、14年ぶり(台詞では15年か)に娘に会いに行く受刑囚と監視役の刑務官。
別れた時には赤ちゃんだった為、娘に戸惑いの色は濃く、許されたたった一夜の時間はあまりにも短い。
そんな父娘も、刑務官の目を盗んで外出したことで、少し距離が縮まる。

だが男は、朝にはそのぎこちない時間の本当の意味を知ってしまう。

治安の悪い地域に付きものの、薬物やそれに伴う支配構造。
こういった環境の中で、娘も、娘役の少女も、隣人の女も傷付いていた。

幼馴染みに恋をしていたが、酔った弾みで寝た女が身籠りそのまま望まぬ結婚をする。
一緒になるはずだった幼馴染みは夫から日常的に暴力をふるわれる。
見兼ねた男はついに引き金を引く。

本作は四人がそれぞれの事情や重荷を背負った人生を歩んでいて、それがこの時に一気に絡み合ってしまう。

それだけに、皆の感情を咀嚼するのは簡単では無いが、観終わって思い返す度、重く何かがのしかかってくる。

好きな俳優であるアルジャン・ケサルがやっぱり良い。
43歳デビューという遅咲きだが、佇まいだけで重厚な語りが出来る名優。