【生活から詩が立ち現れる】
勤務中にふと気になった会話、家やバーでのやり取り、何気ない生活全体が詩歌の創作になり、そして詩歌が生活になる。細部が全体と照応しながらパターソンと共に刻一刻と変貌し、詩つ>>続きを読む
私の初ノーランはこれ。
昔レンタルで観てかなり良かったし友達にも勧めた。その後すぐに『メメント』観て、「あー、ダメになったな」と思ったけど、最初から冴えていなかったのだと今回確認できた。
まず、主人>>続きを読む
この明確な構造を持つ家庭ドラマは、特に妻の不在後に家族内のダイナミクスがどのように変化するかを、夫の元乳母であり家政婦として務める老婦人の巧みな手腕を通して、ひたすらに描き出します。この家政婦は、単に>>続きを読む
実際の裁判記録をもとに脚本が書かれ、ジャンヌを英雄視せず、あくまで尋問調書から読み取ることができる1人の人間として描いているのが本作。ジャンヌvs.他全員の構図はとても息が詰まります。「迫真の演技」と>>続きを読む
「目は口ほどに物を言う」ドライヤーの傑出したヒロインの魔性は自身の内心と自ら発した言葉が同じ結果を生むことにある。
一人の若い女性が経験した葛藤の顛末は彼女自身の告白によって、仄暗い部屋にある夫の死>>続きを読む
月光下で蘇る吸血鬼とその助手たちが暗躍する殺人事件をきっかけに平衡感覚を失い、魂も抜け出す幻影に取り憑かれる青年。彼の通過儀礼か悪夢なのか、語りの視点の曖昧さがもたらす効果が実験映画さながらです。>>続きを読む
銃は鳥を打つためのものと信じている主人公が、自らの英国人としての習慣に従いながら、アメリカ西部の荒野で起こるトラブルを無邪気に解決していく姿は、王道の西部劇ではないものの、その独特な魅力で印象に残る映>>続きを読む
春画は、鈴木春信、喜多川歌麿や葛飾北斎といった江戸浮世絵の巨匠たちによって描かれ、その技術的精巧さと芸術性ゆえに再評価が始まっているが、ご存じだろうか?
北斎の「蛸と海女」や春信の「艷色真似ゑもんシ>>続きを読む
見た目の華やかさと楽しさに反してディストピアを描いた物語は、搾取の限りを尽くして世界の植民地から集めた物品が一堂に会した帝国主義全盛期のヨーロッパが舞台。
耳に残るコミカルな歌と共にオレンジ色の肌の>>続きを読む
【ピラネージ的見立て絵巻物】
今となってはアーカイブでしか見ることのできないカリスマ的個と陶酔する集団の姿。イデオロギー闘争の主導者達を崇め奉る有象無象の大衆が互いを憎しみ合い破滅へと至る20世紀的>>続きを読む
ナチス軍内での仕事内容も役職もバラバラな上に罪を完全に認めている者とそうでない者15名を同時にソ連刑法の元に裁くキエフ裁判。終盤、判決根拠であるソ連刑法の条文と被告人の名前が長々とお経のように述べられ>>続きを読む
音は恐らくぼぼ全編に亘って音響が設計、録音されていて、大胆でありながら精緻で繊細な音と映像が生む臨場感がとんでもない。
原題を見ると"Natural"が History of Destruction>>続きを読む
テーマは『分断』、その裂け目に「怪物」が潜む。
登場人物たちが所属する組織や集団は独自の行動原理や思考論理があるため物事の認識が縦割りに分断されている。そのため、横断的な通念が存在せず、コミュニケー>>続きを読む
【解脱は「青天の霹靂」の如く】
至るところに生命の根幹を支える水のヴァリエーションとその多義性が描かれていてる。原発事故後の水に対する猜疑心の芽生え、水やり中の夫は雨降る中突然姿を消し、発汗は更年期>>続きを読む
昔NHKでやってた1時間のドキュ?あーさみしぃ、教授
アルバムの趣旨は「非同期的音楽」なんだけど対位法も使われていて前衛的と言うより実験的。ガラスの隅を棒で撫でるとかピアノの弦弾くとか日常的に認識して>>続きを読む
【本人にとってのユートピアは他者にとってのデストピア】
夢は睡眠中に観る、あたかも現実の経験であるかのような心像だけど、個人の願望が反映されて生々しい経験をする事もある。映画ではその境界が曖昧になる>>続きを読む
かなり意欲的に新しいナラティブの手法に挑んだ映画だと思う。他のレビューでは白眉ちゃん@haruhito27
が素晴らしいので是非覗いてみて欲しい。
前半はヘジュンの虚構と現実がクロスし、幻想が発散>>続きを読む
証言...没入のエクスタシー
鳴り響く早坂文雄のボレロ! 女はオーガズム後の余韻に浸るように夫殺しを懐古し、巫女に口寄せされた夫と多襄丸も過去に憑依され、感情を爆発させる。真正面やや下に据えられたカメ>>続きを読む
漫画の格闘系・スポーツ系あるあるだけど、自分の技が凄いとか早いとかは相手の感想でしかそれを評価することができない。”さっきとは段違いのパワーだ、カカロット(内心独白)”みたいな。漫画は動作を想像できる>>続きを読む
現サンクトペテルブルクでソ連崩壊を撮影したドキュメントは、歩道からはみ出して道路を闊歩する群衆のショットに始まり、広場に整然と駐列する車で終焉を迎える。見慣れた景色は政治空間へと様変わり、再び公共空間>>続きを読む
追悼ライブって故人を悼んでワイガヤするものだけど、これは終始緊張感が漂っていて2人も基本無表情。最低限のアイコンタクトで演奏が進む。ステージ上で向かい合って演奏していてその真ん中にウォーホールが居るの>>続きを読む
音楽の付け方の妙がこの映画に特異な魅力を与えている。オープニングはお囃子『着到』で始まる。音楽は早坂文雄が歌舞伎の下座音楽をベースに作っていて、我々の感覚からすれば三味線・太鼓・笛の音色は現代のノリか>>続きを読む
室内に断続的に入射するネオンの光が精気を全身に送る心臓の鼓動のように空間自体に宿る生命の伊吹を体現していて、レムの『ソラリス』のように空間に意思が宿っているかのよう。金が納められている壺は心臓の比喩か>>続きを読む
筋肉隆々の漢たちともやしの様に細い狂信者たちが逃避行を企てた女たちを追い廻す。水と石油の王であるボスの意思を体現すれば戦士として死後はヴァルハラに奉られる刹那的な世界では、大きく・強い者が世界の支配者>>続きを読む
ヤクザものだけど虚構感が強調されている。日本刀片手になだれ込んでくる集団がいたり、酒場では全員で殴り合って最後は全員折り重なって倒れたり、渡哲也は無双だったり、とにかく過剰。セットは原色を多用し、流れ>>続きを読む
邪魔な音楽のせいで全然入っていけない。ノイズ入りの音楽でダイアナの精神状態や環境の異常さを過度に表現し過ぎ。セリフは周囲との認識の相違による軋轢から生まれる非難とダイアナの愚痴が多く、単調。最初の5分>>続きを読む