かしまっちさんの映画レビュー・感想・評価

かしまっち

かしまっち

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ミッシング(2024年製作の映画)

4.4

失踪事件を軸に展開される登場人物達の群像劇を通じて、判断基準や価値基準が我々の脆弱な部分を刺激し最終的に行動へ翻訳される危うさを注意深く洞察した社会派ドラマであり、
人間心理と社会問題を深い部分で連結
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

4.2

深みのある物語がさながら落語のように段々と奥へ誘う心地よい吸引力を発揮しており、抑制の効いた描写と一筋縄ではいかないエンタメのテイストに少々困惑するかもしれないが、話を落とす瞬間には豊かなカタルシスを>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

4.3

ポストアポカリプスの視点から過去の遺産となった現在の世界についての探求を持ちかける社会的に示唆に富んだ魅力的なストーリーがあり、新シリーズの方針を感じ取れる程の含みのある問いかけを果たしている
その一
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またヴィンセントは襲われる(2023年製作の映画)

4.2

不穏で緊張感が漂う、時に奇妙な笑いを誘う不条理コメディスリラー
小さな起点で始まる序盤から膨張した不安感が弾ける大きな終盤の着地までの紆余曲折を巧みなストーリーテリングが支えており、
現代寓話としての
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.4

恋愛映画とロードムービーのフォーマットを引用した王道な物語を基盤にし、普遍的なテーマを覗かせる奥行きのある脚本、主人公の心情を丁寧に映し出す撮影、音楽、そしてシュー・グァンハンの素晴らしい演技力に導か>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.7

様々な社会体系と人間の持つ不確かで脆弱な性質についての静かでスリリングな研究だ
鋭い洞察力によって問題を単純な二項対立として展開せず、不透明さと不完全さを利用して緻密に構築された物語から多層で含みのあ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.6

切なくも愛おしいシンプルなラブストーリーだが、自身を作り上げる内的・外的要因へと幾度となく思いを巡らす哲学的な側面も兼ね備えた、決して忘れられない100分強の静かな流浪の旅である

鑑賞する時間、年齢
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.9

優れたCGで描かれる壮大で刺激的な超スーパーヘビー級戦である今作は、
その期待に応えるように映画館で鑑賞する楽しさを提供する底抜けの娯楽超大作だが、
クロスオーバー作品としての旨味は野心的な前作よりや
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

4.5

軽妙ながら細部に至るまで緻密に計算された脚本は2人の不思議で絶対的な関係性を的確に射抜いており、それを体現する主演2人を始めとしたキャスト陣の演技も素晴らしい
広く存在する友情ジャンル作品の中でも容易
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異人たち(2023年製作の映画)

4.6

不安や恐怖、喪失といった孤独を取り巻く悲痛な感情と、その感情の核に備わった他者への深い愛情について、存在概念の複雑さへ探求を持ちかける奇妙なラブストーリーであり、
キャスト陣の力強い演技と思慮深く巧み
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.4

キャストの力強い演技と洗練された撮影技術によって導かれたひと夏の成長譚であり、
その小さな物語の中心に備わった感情的な深みは、大きな声や多弁に話す事を必要とせずとも感動を際立たせられる事を証明している
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.8

壮大な世界観に例えられるような全貌の見えない人生に関する哲学的な探求を、
ピートドクターの雄弁なストーリーテリングに始まり、美麗な映像、心揺さぶる音楽によってその輪郭を大胆に捉えており、
論理的・感覚
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.3

心惹かれる世界観や個性的なキャラクターに加え、迫真のスタントや豊富なセットピースといった映像としての見どころを多く取り揃えた実写版ゴールデンカムイは、
映像化の課題であるケレン味とリアリティの衝突に納
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.2

セリフの説明過多が読解の余白をやや狭めているように感じるが、
黙示録的日常を観察し、社会と個人の変化、自己の内面の揺らぎについて現実的な視点で大胆に検証する、興味深いSFアニメーションだ

難易度:や
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.4

ザックエフロンの魅力的な演技が体現しているかの如く、切なくも心温まるドラマと白熱するスポーツ映画の複数の側面を兼ね備えた映画であり、
スポットライトが生んだ明暗の両方を行き来しながら、フォン・エリック
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.4

時に淡々と、時に感情的に事実を訴え、自然と観客は襟を正される程の強力な求心力を内包している秀逸なドキュメンタリーであり、
特に緊迫した環境下での撮影で収められた映像は、再現ドラマによる装飾がなくとも十
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.7

娯楽性と独自の世界観を備えた作品の系譜を脈々と受け継いではいるものの、
多くの登場人物を扱う上で話の軸が散漫としており、どのエピソードも極寒の中で暖を取るには火力不足のように感じられる

難易度:易

あの夏のルカ(2021年製作の映画)

4.4

他のピクサー作品と比べて想像的な挑戦という面では少し弱いかもしれないが、可愛らしいキャラクターと美麗な映像、力強いテーマを優しく語りかける物語を提供する、活気に満ちたピクサー印の青春映画だ
空想的な設
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変な家(2024年製作の映画)

3.3

未知のものへと足を踏み入れていく好奇心や怯えといった感情的な起伏を映像作品へと落とし込む過程で、観客を煽る恐怖を虫や呪い、グロ描写、不必要なジャンプスケアなどの稚拙なホラーへと矮小化しているため、
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

節々にヒントを散りばめながら議題の中心を少しずつずらしていく丁寧な語りで次第にテーマを明瞭化するアプローチが巧みに行われており、ロケーションの風土と社会性を活用した作品作りによって、最終的な着地に至る>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

オッペンハイマーの矛盾に満ちた生涯に散らばる莫大な量の情報を決して混沌とさせることなく、パズルのように整然と語り主題をくり抜くストーリーテリングの技巧は驚異的な次元に到達している
核兵器の脅威、責任と
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サイドウェイ(2004年製作の映画)

4.6

正反対の2人が織り成すダメ男たちのコミカルなロードムービーは表面上だけでも十分に面白さを感じられるが、
その凹凸だらけの物語の奥に潜む友情、自己、そして人生観についての思慮深く成熟されたテーマが度々表
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.6

ポップカルチャーや推し活など共感度の高い楽しさをふんだんに盛り込んだアニメとしての面白さのみならず、複雑でセンシティブなテーマを大胆な方法で解体し深く掘り下げる示唆に富んだ物語を語っている
Pixar
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

4.2

子どもには愛らしいキャラクターと程よくスリリングな冒険を、大人には気の利いた笑いと綺麗に整頓された物語を、そして全ての人に高品質な映像と音楽を提供する、
ファミリームービーの新しい選択肢の1つ

難易
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.8

内省と記憶想起を巡る人生の黄昏時の感傷的な瞬間を捉えた豊かで美しい抒情詩ながら、
悠久の時間の中に存在する映画という文化的営みに込められた不思議な魔法を紐解き、記憶と再生の喜びを静かな高揚と共に讃えた
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.8

Part1で堅実に展開した世界観を強固な基盤とし、今作ではその上に複雑な関係性を備えた多面的なドラマを人物達の個や集団の感情的な深みと合わせて作品の魅力を大幅に躍進させる物語を築き上げた、
壮大で神秘
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.6

史実ベースにフィクションを編み込む脚色の面で驚くべき想像的な昇華を果たしており、
高い娯楽性のみならず政治的・寓話的にも示唆に富んだ重層的な物語を獲得している

難易度:やや易

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.6

観客の興味関心を惹き続けながらその力を巧みに利用し検証するトリエの創造的に成熟された物語と、不特定多数の観客に共鳴するザンドラヒュラーの複雑で繊細な演技、洗練された撮影や演出の数々が巧妙に混ざり合い、>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.1

編集に難点はあるが、
それでもマシューヴォーンの持ち味である奇想天外なトリックと良い意味の馬鹿馬鹿しさは新たな環境でも健在であり、流れに身を任せたくなる痛快な娯楽作品であることに変わりはない

難易度
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.4

バーンスタインの生涯の業績を伝える伝記的側面をあまり備えていないが、この映画はその裏側へと果敢に探りを入れている
キャリーマリガンとブラッドリークーパーの2人の情緒溢れる圧巻の演技と、視覚的に眩い映像
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.7

興味深い設定とユーモアに溢れたドラマを通じて現代社会に浮かぶ朧気な危機感や欺瞞、ジレンマを鋭く洞察し糾弾する、
観客の2枚も3枚も上手をいく知的な社会風刺コメディ
ジェフリー・ライトの繊細な演技が複雑
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

4.3

スピーディで重みのある大胆な肉弾戦アクションと、笑いとシリアスを適度に配置した堅実な物語を魅せるその手腕は今作でも健在
マ・ドンソクのスター性を最大限に引き出すシリーズの確かな魅力を提供し、その功績を
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

未来予知というワードで、整合性・予定調和・ご都合展開の境目を曖昧にしている
その割には期待していた・求めていた展開はやって来ない
不在のスパイダーマンの匂いがするという一点でなんとか最後まで追えるかも
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.2

よくある王道系のサクセスストーリーではあるが、
ドラマチックな物語が持つ同情的な力に大きく頼らず、温かな空気に満ちた世界を客観的に眺めるようなスタイルで観客側に寄り添う選択をしたワイティティ監督の采配
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.4

多大な情報量と難解なプロット、奇天烈な世界観を兼ね備えた今作は、極度の混乱と緊張によって導かれる笑うしかできない心理状態を逆手に取った、一風変わった怪奇コメディとしてジャンルの幅をまた1つ押し広げてい>>続きを読む

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

3.5

ゲーム原作の独特の世界観にオリジナルの家族ドラマを挿入することで、一見難解そうに感じる設定とテーマを次第に明瞭化するアプローチへと果敢に挑戦しているが、本筋との解離感と妙に眠気を誘うテンポの会話劇は返>>続きを読む

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