井出さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

井出

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オール・イズ・ロスト 最後の手紙(2013年製作の映画)

4.1

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つぎつぎ襲いかかる試練。淡々と乗り越えていく、それがかなりリアル。ゼログラビティより、パイより、リアル。
それはBGMほぼなし(若干中途半端に流れる)で、ただただロバートレッドフォードを撮る。船にアニ
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ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

3.9

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どうしてフォーシーズンズではなく、ジャージーボーイズなのか。それは、ツアーで各地を回りながらも、常に故郷であるニュージャージーでの絆を意識して生きているからだろう。故郷との付き合い方が彼らの人生を物語>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

3.9

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この映画を見れば、戦争が人間の生の反対の概念であることが分かる。人間の生命力に感心する一方で、何のために死ぬのか分からない状況に置かれる戦争に無意味さを感じざるをえない。寄ってくる虫を食い、使えるかも>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.9

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ウェスアンダーソンの完成された世界。緻密に作られた小さな模型のなかで、くるみ割り人形のようにコミカルに動きを操られる登場人物たち。つまり彼の映画は、箱庭である。その箱庭は、まずは老人の小宇宙であり、そ>>続きを読む

プリズナーズ(2013年製作の映画)

3.8

チラ見したけど意外とすごかった。ロジャーディーキンスの均衡のとれた安定の撮り方、曇天や暗闇のうまい撮り方。安定の俳優陣。面白め。

デイライト(1996年製作の映画)

3.9

めっちゃ金かかってる。火薬ドッカーン、車ボコボコ、トンネル崩壊、ザ・ハリウッド。ポンヌフより金かかってる感。ポンヌフが地味にかけすぎてるだけだけど。海猿のもとだろう。でも海猿よりすげえ。シルベスタース>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

4.0

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ちょー面白い。脚本が何と言ってもすごい。アウェイクとユージュアルサスペクツの両脚本家が参加してる時点で、そりゃそうだわ。監督もジャンパーの人だし。発想がすごいし、それを映像化したのもすごい。映像効果も>>続きを読む

無法松の一生(1958年製作の映画)

3.8

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三船敏郎は昭和の人たちにどれだけの影響を与えたのか。無法松の悲哀、不器用で、素直な彼を、見事に演じていた。
当時の学校がどのように受け入れられていたかを、うまく描いていて、教育学的にも面白い。
高峰秀
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海街diary(2015年製作の映画)

4.4

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鎌倉、いいロケーションだな。片方は山で、片方は海。開放的で、包容力もある、でも気候が変わりやすいといった、そこに住む人の心を象徴している。家もそれに沿っているし、駅から家までの坂道、ときどき海の音を入>>続きを読む

横道世之介(2013年製作の映画)

4.0

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何てことはないのに、ずっと見ていたい映画。
話はシュールで超面白い。役者は豪華でみんなうまい。とにかく吉高由里子がかわいい。監督のまなざしは素朴でどこか優しい。
きっとみんな、誰かにとって世之介なんだ
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セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.9

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相米慎二、かなり特徴的。カメラはかなりこだわっている。できるだけカットは切らないけど、かといってシンプルではなく、いろんなアングル、動きを使う。発想がすごい。
あと、セリフ。特に女性。相米慎二の女像、
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雪の轍(2014年製作の映画)

3.9

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この映画で言いたいことは、黙れ、口を開くなということだろう。口を開けば、人を不快にさせ、愚かさが露呈する。しっかり伝えれば理解されるか、それも難しい。だからと言って黙っていられるか、それも不可能なんだ>>続きを読む

白痴(1951年製作の映画)

4.6

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Mの曲。亀田はこの人が悪人だと分かってるんだな。面白い演出。見たもの、聞いたもの、読んだものがよければ、あっさり、そのまま用いる、黒澤の柔軟さ。今回もしっかり、小説に従っている。映像化したらどうなるか>>続きを読む

長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

4.7

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美しい。中国の風景も、長江も、哀しみを抱えながら慎ましく生きる人々も。そして、それを優しく見つめる目も。ジャジャンクー、素晴らしい。
出てくる中国人は日々を一日、一日と生きている。生活に苦しみつつ
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.4

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演技がすごい。護送車に乗りながら、街を惜しんで、ネオンに照らされながら、表情変えずにポロポロ泣いているシーンはやばかった。
お母さんが死んだのところは、わたしはロランスへ。
子供を率直に、純粋に描いて
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青春残酷物語(1960年製作の映画)

4.1

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社会に抵抗する若者。それを殺す社会。残酷だね。
大人しくなったよな、現代。それほど豊かになったのかな。従順が生きる術だと、学んでいるのか。賢くなったんだか、ばかになったんだか。
時代と東京の気味悪さが
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切腹(1962年製作の映画)

4.5

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平安が訪れると、武士は鎧の置物のように、うわべだけで生きるようになる。平和ボケってやつか。
心地よいところには安住したくなる。苦労を忘れて惰性で生きる。飢えを意識できない環境は人を弱くする。人間の弱さ
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愛を積むひと(2015年製作の映画)

3.7

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ロケーションが美しい。話はどこか、美瑛町のようにゆったりとしており、開放的である。普段はどの戸からも出入りできるようにしてあるという設定からも分かる。自然とも調和的で癒される。空を強く意識する。だから>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年製作の映画)

4.2

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その時代に生きてもいないのにノスタルジー。もはや寅さん自体、日本人の柴又になってる。ある意味、時代が変わったのかもしれない。
話はちょー面白いし、ちょー泣ける。寅さんには惚れたわ。雨降ったら、人のこと
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秋津温泉(1962年製作の映画)

4.0

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岡田茉莉子とロケ地が美しい。岡田さんのよさが全て出てるんじゃないか。旦那さんがとってるわけだし。その美しさは木下恵介にも通じる。女性の可憐さはヌーヴェルヴァーグにも通じる。

戦後の日本と長門さんは、
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オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

4.5

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母についてのすべて。これは息子、つまり監督の綴る物語。息子はこの世の外から、監督は物語の外から、映画を綴る。そしてその中に新たな息子が生まれる。カメラに筆で字が入れられるところは象徴的だった。次元は異>>続きを読む

殺しの烙印(1967年製作の映画)

4.3

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ちょー笑ったわ。突っ込みどころありまくり。
特に、銃口全く違う方に向いてんのに、命中しちゃうっていうね。声聞こえてないはずの距離感とか。たまに時系列錯綜だし。時空間の歪み系ね。それでも映画は成立する。
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いまを生きる(1989年製作の映画)

4.1

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見よう見ようと思っててようやく。ロビンウィリアムズはいつでもみんなの味方だな〜と思った。終始泣きそうになった。本当に死んだのか。
映画自体はリアリズムだと思う。抑圧が正しいと信じる人も、それでも自分の
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セッション(2014年製作の映画)

4.1

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予告編で車が衝突するシーン知ってたから運転してるときピリピリしたし、カマかけられたからやられたわ。
顔アップ多いからずっと気抜けないし、緊張感が続く。観客にもストイックさを問うねえ。
最後はジャズの本
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ピクニック(1936年製作の映画)

4.0

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光と影、まさに印象派。父親が描いたものを映像で表現している。ブランコ、木々、水面、女性、若さ、恋。
しかも脚本がモーパッサン。すごい時代。そして今見ても色あせない。
男と女がいれば映画は撮れるという考
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絞死刑(1968年製作の映画)

4.4

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60年代の死刑観を描いた作品。死刑について、国家について、殺人について、差別について、様々に考えさせられる映画。思想についてここで述べるつもりはないです、見てください。
最後の川は特に美しい。構図も展
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リリー・マルレーン(1981年製作の映画)

3.7

ファスビンダーである必要はないけど、第二次世界大戦のときのドイツ民族側の雰囲気を初めて知った。
めっちゃ批判されたらしいけどその理由を知ったらいろいろなことが分かる映画だと思う。
ファスビンダーで歴史
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あん(2015年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テーマはあん。
あんが鍵を握っている。あんとともに店に来る徳江さん。徳江さんのもつあんの甘さのような、ほっこりする優しさ。しつこいくらいに泣かせてくるねっとりしたストーリー。それを、強いメッセージとと
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アリス(1988年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ヤンシュバンクマイエルお得意の、欲望への拒絶。食欲、性欲、睡眠欲でも何でも全て。私たちの価値観は否定され、改めて、そのものがもつ意味を噛みしめることができる、強く意識することができる。
秩序や有機的連
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アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

4.2

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黒が綺麗。照明もコミで。
カメラは無駄がないのに、こだわってて、理論きっちりで素晴らしい。大友とデカのやりとり、前と後で比較したらよく分かる。
ユーモアもはんぱない。下っ端を仕立て上げたりとか。小日向
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シンデレラ(2015年製作の映画)

3.7

女の子が泣いて笑って、いいもん見たなって言って帰る、これだけでいいんだな〜映画っていうのは。
男的にもよかったですけど。
監督とか、ヘレナボナムカーターが杖もつあたりも、主演がリリージェームズって名前
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

基本的にカットを切らないことの理由は、観客の集中をきらせたくない、つまりその場面でかなり強調したいことがあるということである。
この映画で強調したかったのは、とにかく撮影技術、映像効果、音響、脚本、演
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博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

とにかく回転推しで、観客の目を回してやろうという陰謀が見え見えだった。
時間は経つもので、彼女との距離も、研究も、時間が経たなければ進まない。しかし、それとともに病気も進行し、時間を逆に戻したいという
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やさしい女(1969年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

なぜ結婚したのか、なぜ浮気したのか、なぜ銃を向けたのか、なぜ引き金を引かなかったのか、なぜ病んだのか、なぜ死んだのか
いろいろな問い。
真実は分からないという答え。
人間関係の基本。

最高の演出力と
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