1303さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.0

デヴィッドエアー版同名過去作に於けるスーパーヒーローの対角線にいるヴィランの寄せ集めではなく、アウトサイダーなりの行動原理と論理を以て展開される特命任務を描いた今作の姿勢は圧倒的に正しく魅力的です。>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

3.6

エマ・ストーンのキャラクター・造形のチャームが素晴らしかったです。ミステリーとしての仕掛けとそのネタばらしが主人公の行動に整合性を与える事で派生元の作品への影響が懸念されます。

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

3.7

人生に意味はなく偶然と瞬間的な輝きが全てだと教えられている気がしました。邦画史に残る、見た事のない爽快で痛快なEDが印象的です。

未来のミライ(2018年製作の映画)

3.1

ルーツを辿りながら相関する事柄を地獄巡りするような構成は宛ら千と千尋の神隠しのようです。物語が示唆するものから登場人物が学び成長することもないため恍惚感のようなものは皆無です。

音楽(2019年製作の映画)

3.0

描きたいものや伝えたいものの強度が高すぎたせいかその他の要素が全て最後の一点に奉仕される為だけの存在に感じられ、あまり入り込めませんでした。ストラップ切れたくらいで全員が演奏止める事なんてありますか >>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

3.6

モラトリアムを生きる未熟な登場人物達が細い糸のようなものを頼りなさげに手繰り寄せる姿に胸がきゅっとなります。

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.0

ミニマルでクリーンに設計された未来世界像や細部まで組み上げられたガジェットの美しさと泥と血の匂いに塗れたサスペンデッドな展開の対比が本当に美しい作品です。破壊衝動と殺意を以って進化してきた人類のその先>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

3.8

どこまでも続く地獄のような描写とその中に垣間見れる自由の予感みたいなものに胸を熱くするストーリーラインと、鏤められた伏線をぱちぱちと回収してゆくパズルアクションのような意外な展開にいい意味で驚かされま>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

人種差別的なトピックに注視して観始めたのですが注意深く物語を追うと何層にも重なって浮かび上がる各キャラクターの属性が巧妙に絡み合う複雑な作りに気付きます。
その多元的な相違から来る苦悩や逡巡にその場
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.4

瓶の中の蛍のように刹那的な輝きを閉じ込められると信じる彼とそれが気休めでしかないと知る彼女の会話が象徴する、青春の終わりを美しく切り抜いたほろ苦い作品です。
蛇足ですが個人的に記号として散りばめられた
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.8

悲劇的な秘密を共有する事で生まれる甘い共犯意識と徐々に乖離する各々の考えが行き着く先の落語のようなエンディングに痺れます。 平坦で単調な人生の捉え方と解釈について小さくないヒントが鏤められた作品でした>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.8

時間の長さや理屈の精度に意味はなくそれらと無関係な感情のおかしさについて滔々と語るような作品でした。残酷なのに優しくて滑稽で愛おしい矛盾と欠陥しかない気持ちの右往左往の果てに残るほんのり甘くほろ苦い後>>続きを読む

ウォッチメン(2009年製作の映画)

4.0

道徳と倫理に沿いながら誰も救えない理屈と、禁忌を犯し犠牲を伴いながらも誰かを救える手段の軋轢。
ヒーローの在り方に対して思考停止する事なく苦悩し続けることが答えであるという逆説的な着地をさせた名作です
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リトル・ダンサー(2000年製作の映画)

4.0

時代の閉塞感に満たされた鬱蒼とした環境下 1つの宝石のような感性が拾い上げられ丁寧に磨かれる過程に目も心も奪われます。過酷な現実を中央に据えながらもあまりに美しく目が眩む未来に吸い込まれるような素晴ら>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.8

極限まで削ぎ落とし抽象化されたストーリーやトピックスが縁取るアウトラインから半自伝という意味合いを超えた高い神話性を感じました。燃え上がる家屋を茫然と見つめるスティーヴン・ユァンに制作側の擽りが透けて>>続きを読む

ドリーマーズ(2003年製作の映画)

3.7

理想と虚構に放蕩しながら生温い浴槽で夢想に耽るモラトリアムが"家に街が飛び込"んで現実と地続きになる瞬間、美しい夢の終わりに胸が苦しくなります。カメラを盗み覗く共犯者として同化していく恍惚と背徳に陶酔>>続きを読む

フェリスはある朝突然に(1986年製作の映画)

3.5

家族との関係に苦悩したり抑圧された環境に鬱蒼としたり .. きらきらした時代が内包するルサンチマンを反省も成長もしない主人公の無垢な衝動が解しながら癒すセラピーのようなストーリーラインに見惚れました。>>続きを読む

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)

3.6

英雄譚や神話は信仰を求める民衆が生きる糧として存在するものであるため中枢にある存在の人格は実体を超えて意味を帯びることが宿命と言えます。そのあまりにも過大な命題の重圧に押し潰され壊れてゆく姿はその悲壮>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

3.8

作家性を加味すると無数のカットバック映像に翻弄されながら「現実と幻想を継ぎ目なく行き来するうちにいつの間にか対岸に来ていた」という平常運転作品なのですがそれぞれのシーンが呼応しながらしっかり終着に向か>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.2

肉体と精神の二元論を物理的な制限を超えた未来を介して実際的に描き問い掛ける、存在そのものに価値がある作品と言えます。
合理性を伴った機能やデザインに説得力しかないガジェットやデバイスに包囲される快感が
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選挙(2006年製作の映画)

3.5

情熱でも正義でも義理でもなくただ票を獲得するゲームに勝つためにしか立ち振る舞えないあまりに拙く頼りない候補者(主役)に失望と落胆を覚えるのと同時にそもそも選挙というシステムが孕む苦さや歪さを目の当たり>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.8

不可逆なものを取り戻すというどう考えても行き着く先に混沌と絶望しかなかった詩篇が少しだけ翻訳される生暖かい展開に園子温の希望に負けたというコピーを思い出しました。

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ(2015年製作の映画)

3.5

高尚で純粋な魂があまりに短絡的で稚拙な功名心に搾取・蹂躙された事実にただ悲しくなるばかりですがE1027という傑作とその正しい設計者の偉大な創造性に改めてぐっときました。
偶然ですが今のタイミングでこ
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.9

煩雑に込み入った思惑を逆手に取った巧みな心理戦に手汗と動悸が止まりません。白か黒か一点に集約するラストも秀逸です。

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.9

最低なキャラクター主観の胸糞な爽快感は不思議です。weekndと痴情で喧嘩するシーンも最高でした。10代でA24に触れていたら人格変わってた気がします。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.0

不条理で理不尽な世界で"普通に"生きる欺瞞としての正しさと人が寄り添い繋がる中でふっと浮かび上がる優しさや愛おしさを対等に描きながら終盤花束のように置かれる苦い問い掛けに噎せ返りそうになります。
世界
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MEMORIES(1995年製作の映画)

3.6

他人の記憶に介入する内に境界が融解するホログラムと幻影に翻弄される宇宙屑処理作業員、国の依頼で偶発的に生まれたバイオ兵器そのものとなってしまう平凡な研究員、誰の為に何の為にかは不明なまま砲撃に費やされ>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

3.9

ほぼ1シチュエーションで展開する会話中心の舞台劇です。繊細できらりと光る粋な仕掛けと緻密な関係性をちくりと刺すスリリングなやり取りに泣いたり笑ったり .. スッキリ爽やかな後味に未だに思い出してにこに>>続きを読む

透明人間(2019年製作の映画)

3.9

人が人を信じる為に必要な情報を極限まで削り取り精神的に追い詰め衰弱させてゆく様は凄惨を通り越して痛快ですらあります。終盤所謂サイコサスペンス然とした典型的な着地を匂わせながら残り20分鮮やかな逆転劇が>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.8

純粋無垢で利己的な発想と短絡的で破綻した理屈に胸が抉れられるような思いですが、彼が口にする愛情や幸福には本当に嘘や矛盾はなくただそこに存在するだけであるという事が最大の悲劇と言えます。
劇中、意図的な
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葛城事件(2016年製作の映画)

3.8

人の変化についての物語だと感じました。
一般的に人は社会や家族との接点を介し軋轢や衝突、対話を経て精神を成熟させるものである筈ですが閉鎖的な環境と先天的に凝り固まった思想でその機会を得られなかった時、
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奇跡(2011年製作の映画)

4.0

鉄道会社からの企画として立ち上がったものとの事ですが所謂ジュブナイル作品として傑作に仕上がっていたと思います。特に物語中盤挿入されるカットアップで奇跡の連鎖に気付かされる瞬間、怒涛の如く押し寄せる感動>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.8

強迫的な夢や意味信仰が呪いになっている世界に対して誠実で健康で優しい示唆と余韻をくれるピクサー頭打ちの傑作です。浮遊と緊張が混在するtrent reznor&atticus rossの劇伴も凄過ぎます>>続きを読む

レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.2

やがて対価のバランスを失い人としての矜恃や尊厳を取り戻せなくなった時、耽る夢想を探し這いずり回る登場人物たちの痛々しさに目を伏せたくなります。打ち拉がれ壊れた彼らの姿から浮かび上がるのは複合的で多重的>>続きを読む

散歩する惑星(2000年製作の映画)

3.5

画角の美麗さや独特な色彩・トーン .. 後に署名となるような独自性を配しながら超現実的な展開や少し意外なカメラワークに演出実験としての面白みも感じられる作品でした。

そして父になる(2013年製作の映画)

3.6

唯でさえ所在なく彷徨うアイデンティティをこれでもかと揺さぶる展開に自問が止まりません。何でもなく続く会話から少しずつ少しずつ手繰り寄せるように丁寧に紡ぎ直される関係に涙腺が緩みました。