金春ハリネズミさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

5.0

また何度でも此処へ戻ってきたくなるような、日々のセーブポイントとして本作を胸にしまっておきたいですね。

思わぬハプニングから突如はじまったプチ逃避行。
此処ではない何処かへ。
見知らぬ景色はmidn
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Here(2023年製作の映画)

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日々の喧騒から解放されたいとき側にあったら助かるような。
日常を整理したいときの緩衝材として、そっと。

サクリファイス(1986年製作の映画)

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彼の生きた旧態への贖罪と、次世代への多大なる希望とが溶け合い撹拌するようで美しいですが。

本作からおよそ40年経った今も尚、戦争というアクシデントはこの世から消えてはいません。
何も解決などしていま
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.3

例に漏れず、此処ではない何処かを目指して。

けど本作は、とりわけ人の善悪についての問いかけ。
良心ってなんなんでしょうか。
身銭を切ることに因果は必要でしょうか。

何の見返りもないのに、人に優しく
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ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.0

生真面目心配性が取り柄の主人公が、周囲のだらしない様に辟易と深いため息を漏らしつつ、それでも誰かに支えられ、互いに溶け合ってゆく時間の流れに身を寄せては、新たな発見や次の創作へ日々を還元する。

そこ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.6

朝ドラコンビですか。

個人的にはかなりタイムリーに有難い一本。
なんだか心が少し軽くなりました。

夜が来れば、必ず朝がやって来るように、生き辛い日常も、ずっと続くわけじゃない。
きっとそうに違いな
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

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ジョージ・オーウェル「1984」を映像にしたような衝撃です。

近くて遠い存在こと「北朝鮮」の実態が垣間見える一本。

個人的にはヘンな国、頻繁にミサイルを威嚇射撃してくる、かまってちゃん国くらいにし
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

とっても愛おしい一本です。

監督が持つ才能と、原作のポテンシャルとが見事にマッチされているとても良い例だと思います。
個人的には奇しくも前回「籠の中の乙女」からたしからしい部分を掴めてる。
この映画
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空白(2021年製作の映画)

4.7

今まで見てきた𠮷田監督作の中なら「愛しのアイリーン」くらいダントツ。🙋‍♂️

𠮷田恵輔さんの作家性(映画で何したいか)と、物語との親和性が絶妙です。

例えるのなら、RHYMESTERのThe Ch
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ボカしが多すぎますよ。

この映画にかかれば、人間なんてほんまそこらへんの動物と一緒で、可愛いペットみたいなものとでも、言いたいのでしょうか。
「ロブスター」に覚えた感触があながち外れてはなかったみた
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泥棒成金(1954年製作の映画)

3.8

アルフレッド・ヒッチ・カリオストロコック?

ロブスター(2015年製作の映画)

3.9

まるでお人形さんごっこみたいに人を弄びますね。

ハイコンセプトな寓話ですか。
ハイコンセプトな割に思わぬ所へ吹き飛ばされますから困りました。
登場人物たちはみな欲望のままに動きますが、それを見つめる
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.2

きっつい映画。

なんか見覚えのある清潔さと不気味さがあるなと思ったら、キューブリックかもしれない。
音楽もだいぶ雰囲気出てるし、シャイニング的な悪寒を感じます。

これ極道は実際のところ誰なんやろっ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.8

新作にむけて、ヨルゴス対策。

非常に贅沢な一本です。
賞レースも総嘗ですね。凄い。

女の意地をかけた三つ巴が手に汗握ります。

描写はとっても静寂で品格があるけれど、むしろそれがかえってヴァイオレ
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千年女優(2001年製作の映画)

4.0

モチーフとか物語はめちゃくちゃ良いけど、作劇や語り口、特に立花、井田コンビ、とりわけ井田の存在が鼻についてとにかくイライラしてしまった。

ノリつつシラけ、シラけつつノル感覚はとっても現代的で、はっき
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

劇場を出たあと、世界の見え方がちょっとだけ変わりそうな
味わい深き「わびさび」の精神を絵に描いたような一本。

言い方があんまりよろしくありませんが、如何にも「わかってる」日本好き外国人が作りそうな映
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市子(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

とっても身につまされる一本です。

市井の生活を渇望したひとりの少女の物語。
彼女にとって、「普通」がどれほどかけがえのないものかを突きつけられます。
クライマックスのたたみかけは本当にグッとくるもの
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

概ね下馬評通りの、気合が入った一本です。

鬼太郎の誕生、即ち「墓場鬼太郎」第一話へと繋ぐ前日譚です。
墓場から生まれた鬼太郎の誕生そのものが、かけがえのない歴史的奇跡であったことを我々に説き直してく
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(2023年製作の映画)

4.1

暴力団同士の熾烈な抗争を描いた社会派実録モノです。

ときに従い、談合しては裏切り、利用し利用され。
男たちのシニカルなシノギがユーモアたっぷりに描かれます。

次回は作中首が何個吹っ飛んだのかを数え
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阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

4.0

2024年の封切り一発目。
やっぱり森田ではじめたかった〜。

四姉妹の群像劇。
原作向田邦子、脚本は筒井ともみ。
筒井さんとは、「それから」来のタッグですか。

味わい深いです。
奇しくも前回観た「
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

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今年のラスト劇場だと思います。

神戸は元町で毎年恒例だったイベントが、大阪へやって来ましたか。
これを機に本作を走破できました。

とかく5時間もある作品ですから、言いたいことを挙げていけば本当にキ
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アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.5

年の瀬に観なきゃいけないものが多すぎてもうどうしたらいいかわかりません。

家では絶対に観ないでお馴染み、栄枯盛衰、長丁場モノです。

お客さんが多くてびっくり。
素晴らしい映画体験でした。

かつて
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

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人生に一度は観ておきたい一本でした。

老夫婦の最期にまつわるお噺。
スプリットスクリーンを活用して、同じ空間に居るはずの2人が、絶対に交わることのないそれぞれの空間に生きていることを視覚的に示唆して
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

新作に併せてでしょうか、嬉しい上映がきました。
東京テアトルとロングライドに感謝です。

「味わい深い作品」の名手ことケリー・ライカートさん。
ご多分に漏れず本作も味わい深過ぎてドーナツの風味が劇場に
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.6

何度でも観たくなる一本ですね。

うだつの上がらなさそうな2人の少女。
とかく、この2人の出立ちが映えて仕方がないんだから、終始飽きることがないです。かっこいい。

10代後半のラストモラトリアム。
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正欲(2023年製作の映画)

4.2

原作未読です。
重い腰を上げて劇場に足を運んだ私を褒めたい。
そんくらい、僕には大切な一本でした。

各々違ったフェティシズム、或いは込み入った人格や悩みを抱える男女の群像劇ですが、誰も皆「生きるのは
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台風クラブ 4Kレストア版(1985年製作の映画)

5.0

僕の行く劇場だと、2Kのダウンコンバート上映になってしまうのもあってか、映像が良くなったことで印象が上振れすることはなかったですね。
ただ、この映画を劇場で体験できたのは個人的にはたまらないものがあっ
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ブリング・ミンヨー・バック!(2022年製作の映画)

5.0

ちゃくちゃ良かった。

恐らくこれが今年ベストかもしれません。
半端ない。
ドラッグに近い高揚感。
自然と身体がグルーヴに乗っちゃう。
ナチュラルハイしちゃう。
「音楽」が映像になってる。

日本のブ
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陽炎座 4Kデジタル完全修復版(1981年製作の映画)

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浪漫三部作の中では一番ググッときました。

人の問いかけにひたすら横滑りしていくのはもう分かってきたので、はいはいって感じで。
この的を得てなさ、その連続が、寧ろ的確に作中でのツボをおさえてくれるから
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夢二 4Kデジタル完全修復版(1991年製作の映画)

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ザ・フォーク・クルセイダーズが唄う「帰って来たヨッパライ」のように、あっさりと、それでいて上機嫌に「死」を取り上げては、その限りある「生」を、声高らかに謳歌するぞ。
とでも言いたそうな様子が、可笑しい
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