2MOさんの映画レビュー・感想・評価

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リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

3.8

招かねざる放蕩息子の帰還。死神、またはデッドマンの哀感あふれるティム・ロスの冷たいまなざし。ビスタサイズの絵画的な構図に、ロングショット、ズームアップを多用する映画的なカメラワークの陶酔。弱冠24歳の>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

3.7

デパルマの流麗でアクロバティックなカメラワークが踊るように、パチーノの小粋なモノローグには哀愁のブルースを奏で、裏社会の仁義とその栄枯盛衰をスタイリッシュに、そしてロマンチックに彩る。パラダイスの夕暮>>続きを読む

ヒート(1995年製作の映画)

3.1

パチーノ×デニーロの二大スター共演。
街の臭気に銃の火薬が煙る。男の美学がむんむんに立ちこめる──あるいは至高のホモソーシャルに巻き込まれる女たちの悲劇。そんな黒い磁場に引き寄せられる少女時代のナタリ
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悲しみよさようなら(1990年製作の映画)

3.6

ボサボサ頭のグランジなウィノナが超チャーミングな、90'sノスタルジーへの耽溺。

誰もが抱える“あの頃”の、忘れられない悲しき恋の思い出にさようならを。

ジュマンジ/ネクスト・レベル(2019年製作の映画)

2.9

ドウェイン・ジョンソンつながりでハムナプトラや、さらにはインディー的なアドベンチャーへと節操なく世界観を広げる続編らしい続編の悪癖。
なお、ブレックファスト・クラブ的関係性のその後に陳腐な永遠の友情を
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バラ色の選択(1993年製作の映画)

4.0

『摩天楼はバラ色に』に続き、等身大の心優しき好青年を我らがマイケル・J・フォックスが快演するロマコメの王道。愛かお金か、そんな二項対立とアメリカンドリームがまだまだフィクションに機能するノスタルジック>>続きを読む

ジェイ&サイレント・ボブ リブートを阻止せよ!/ジェイ&サイレント・ボブ オタクたちの帰還(2019年製作の映画)

3.2

心臓発作で死にかけたケヴィン・スミスが、盛大な同窓会にてもはや開き直った自虐ネタを繰り広げる、リブートあるいは続編的メタフィクション。そして『コンビニ・ウォーズ』に続く家族映画でもある。あの永遠のバカ>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.5

意見の違う者を敵とみなし、叩きのめすことで愉悦に浸る。熟議することなく論破することが正義となった時代。水面下では野心と自己保身に走る政治家や、倫理観の狂ったロビイストの暗躍に民主主義は“腐敗”している>>続きを読む

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと(2008年製作の映画)

3.6

一切の見返りを求めない、無償の愛。言葉を介さずとも通じ合う想い。これほどの純粋な喜びと、そして悲しみを果たして知り得たか。命の儚さを、よって人生の豊かさを。犬を飼うことでしか得られなかった、学び多き幸>>続きを読む

デビル(2010年製作の映画)

3.3

高所かつ閉所の密室に、一度乗り込めば宙吊りのまま命を預けざるを得ない、生活に密着した最も身近なソリッド・シチュエーション、エレベーターの恐怖に苛まれる日々である。

原案、製作にM・ナイト・シャマラン
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私がクマにキレた理由(わけ)(2007年製作の映画)

3.2

傍観者でなく観察者であれ。
互いに影響し合う社会的動物の一員として、未知の世界に身を預けてこその学び、気づき。その自己発見に意味がある。

ニューヨークはマンハッタン島のアッパーイーストサイドにおける
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彼女と僕のいた場所(1995年製作の映画)

3.5

今日、この時が終わって
酔いが覚めたあとも
君はセラピーに行き
僕は友達に会う
そんなことを続けたい
人生は長いし
なんだってできる

恋人たちの刹那の永遠。
モラトリアムの終わり。

グリーンバーグ/ベン・スティラー 人生は最悪だ!(2010年製作の映画)

3.8

手作りのミックステープ(CD-R)に想いを託す、幼くナイーブすぎたロマンチストの憂鬱。今を生きれず、過去を生きなおす。

孤独を自由と。何もしないことをしている、人生のムダを生きていると強がる。下手な
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.7

ライドアトラクションとしてのホラーの名手という先入観それ自体が巧みなミスディレクションとして機能。ジェームズ・ワンがさらなる新機軸を打ち出す。様々な古典よりベタを貼り合わせた先に、思ってもみない仰天の>>続きを読む

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢(2018年製作の映画)

3.6

オリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」に昇華される負け犬人生のカタルシス。

僕らの孤独と抑うつの日々にひとときの解放を与えてくれる音楽とエクササイズ、そして友よ。彼らと眺める夕陽の絶景よ──そ
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映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)(2023年製作の映画)

3.5

洗脳、管理社会への警鐘。ユートピアとはつまり常に誰かにとってのディストピアであることを教えるSF的ギミックに、伏線回収の妙。

愚かな人間性を憎み、楽園を夢見て空ばかり眺めていた少年時代のきみにも見せ
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劇場版TRIGUN(トライガン) -Badlands Rumble-(2010年製作の映画)

3.3

奪い奪われの残酷でシンプルなこの世の中で、生きることに意味を求め、しちめんどうな御託を並べ立て逡巡する男の子の永遠にも続く苦しみ。過去に十字架を背負い、未来に絶望を募らせる煉獄で、ただひとり母の残した>>続きを読む

MORTAL モータル(2020年製作の映画)

3.0

あの『ジェーン・ドウの解剖』のアンドレ・ウーヴレダル監督作。
北欧はノルウェーの地に物語る、雷神“ソー”のオリジン。クローズアップに怒りと悲しみの暴走を捉えれば、切ない愛の逃避行にアンチヒーローの爆誕
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.2

『スーパー!』を思い起こすポップグロテスク。見下げられたポンコツ軍団の特攻大作戦がガンの露悪趣味と相性抜群であることは言わずもがな、ハーレイ・クインの気狂いピエロとしての魅力を最大限に発揮させる手腕も>>続きを読む

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

3.7

『SPUN スパン』のヨナス・アカーランド監督作。
悪魔的な轟音に差し込まれるサブリミナル的パラノイド。自殺に他殺、生と死のグロテスクを煽る。セックス描写はまだしも殺傷シーンにモザイクがかかるなんても
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.9

デジタルネイティブの情報処理能力に圧倒される。呼応するように膨大な情報量より二転三転するストーリー、伏線回収までも見事な上質サスペンスを展開する。
発明的な前作より質、量ともにさらなるバージョンアップ
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あなたの、私のクリスマス?2(2023年製作の映画)

3.4

人生最悪の一日を経て、今日という人生最良の一日を迎える。そのすべてを愛おしく、誇らしく思う。共に生きる、そして共に生きたすべての人との思い出に。乾杯!

ベター・ウォッチ・アウト: クリスマスの侵略者(2016年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

キッズムービー的なほのぼのサプライズを期待しては、まさかの胸糞ホラーへのツイストに驚く。暗黒版ホームアローン。

『ヴィジット』の姉弟、オリビア・デヨング&エド・オクセンボールドの再共演も嬉しい。

あなたの、私のクリスマス?(2022年製作の映画)

3.6

家族と友人、古い友に新しい友、そして今はいなくとも心の中で生き続けるあなたに。メリークリスマス。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.1

ヴェノムのうじうじとは大違い、失恋の悲劇より華麗なる覚醒を果たすハーレイ・クインの姿に、自立を勝ち取るガールズエンパワーメントへの連帯を重ねる。道化はどっちだ。

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

突難を二度も患った身としては、全く他人事ではない失聴の危機を追体験する。
耳鳴りに始まり、水中に突き落とされたようなこもった世界に、実はノイズで溢れる難聴の症状を音響効果にて再現する。まさにあの数週間
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ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

3.6

ロネ・シェルフィグの過去作で言えば『幸せになるためのイタリア語講座』に通じる、弱き者たちの繋がりに救いを見出す群像劇。
誰もが手と手を差し伸べあって生きていくべき隣人愛を謳う。しかし、そんな真っ当なド
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キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

4.0

すかし芸がことごとくハマる。ドメスティックなはずの笑いのツボを共有しうる日仏の親和性。恐怖と笑いが紙一重ならば、エログロを許容してきた両者の歴史を鑑みるに、今作がハリウッドリメイクではなかった必然性が>>続きを読む

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

4.2

ドレスを纏う乙女の恍惚。
恋に恋するときめきのような。

いつまでも美しくありたい、その純粋な美への欲望。誰のためでもなく、むしろ私が私であるために着飾る“実存的”な、オシャレがあてどない人生の原動力
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TENET テネット(2020年製作の映画)

2.8

150分の長尺の大半が映画的アクションとは分離した、説明のための説明描写であり、見ることよりも理解することに労を割かれるノーラン節がここに極まれる。逆再生というプリミティブなギミックも有機的に機能して>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

エコーチェンバーに陰謀論と蔓延るこのご時世に、非科学的なカルトを結果的に肯定しかねないシャマランの迂闊さ。世界の命運を“物語”に託し過ぎることの暗部がここにきて露呈する。

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.1

『新感染』の衝撃から4年。ゾンビで埋め尽くされた韓国は仁川で、さながらマッドマックスのようなカーチェイスが繰り広げられる。主人公が一般市民より武装した元軍人となれば、アクション過多にバイオハザート化す>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

未知との遭遇×ジョーズといったスピルバーグ的スペクタクルを表層に、深層に映画についての映画を語る。

カメラを向ける暴力性、本質的に見世物である映画の残酷性を、らしく“幻の黒人スター”を背景に、寓意に
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きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.0

“FPS”なる主観映像の、無料のPCホラーのようなクオリティに気を失いそうになるが、恒松祐里を一人称とする第二部からが本章。画面映えするヒロインと、半ばコメディと化す小気味よさがB級らしく救われる思い>>続きを読む

子どもが教えてくれたこと(2016年製作の映画)

3.8

自らの病状を語る子どもたちの明晰なこと。すでに運命を受け入れたかのような達観した面持ち。人より早く命と向き合わざるを得なかったばかり、人より少し早熟でなければならなかっただけ。それがすなわち不幸とは限>>続きを読む

ジャッカス FOREVER(2022年製作の映画)

2.9

ガキの悪ふざけがもはや命がけのスタントに。年齢を重ねる分だけ純度を増すバカの境地。いつまでもウンコチ◯チ◯で笑い転げるおっさんの醜態に呆れつつも、心のどこかで羨ましくもある。

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