3110133さんの映画レビュー・感想・評価

3110133

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めがね(2007年製作の映画)

1.0

「排他性や同質性を含む共同体」の気持ち悪さ、幼稚で邪悪な魂の所業

むかしに見て、なんとなーくの雰囲気は嫌いじゃないけど、なんだかすごくイライラした記憶があった。最近知り合いの作家の相談に乗っていて話
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

他人に手渡しても作品になるとき

脚本のみだったらとても良かったのかもしれない。ウルトラマンという存在を前提として、シュタイナーやレヴィ=ストロースの思想といったアイテムもワクワクさせる。


だが、
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.1

大きなものの内側から引き摺り出すもの

大きなものが嫌いだ。
大きなものとつながることによって、ほかのものとつながり、わたしが拡張され、肥大化し続け、いずれわたしは万能感の意識だけになり、肉体は大きな
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イカロス(2017年製作の映画)

3.8

形式が内容を含んでいるという例として

去年から運動不足解消や落ちた体力の改善を目的に自転車に乗り出した。
住む場所のそばにはサイクリングロードがいくつか整備されていて、あれよあれよとロードバイクには
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.4

人生への敬愛

いつ頃までだろうか。情報を得るのに多くが雑誌だった。
しかし、ネットやsnsが情報を得るメディアの主流となったいま、雑誌というのは奇妙なものだったのだとおもう。
情報にはディレイが生じ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

ようやく!

誰がなんと言おうと、良かったと全面的に言える。

イエスタデイ(2019年製作の映画)

1.3

卑劣としか・・・

ひとまずビートルズに関する小ネタで鑑賞者受けを狙ってるのは構わない。もっと掘れるはずだと思わなくもないし、愛を感じないと思わなくもない。それでもまあ、いいよ。

とにかく許せない卑
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.9

前情報はいらない!

わたしが青チームだったら、鑑賞前にいろいろと前情報を知ろうとしている過去の私のPCを全力で閉じるだろう。
難解だとか、知っておくといい知識など、知らなくていい!ビビるな!まずは観
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世紀の光(2006年製作の映画)

5.0

真正な芸術作品の前では言葉につまる

これまでかというほどに芸術のガイストが立ち現れる。真正な芸術作品(アドルノ)だと感じられる。
メタファーは微振動しながら、ほかのメタファーと共鳴したり、反発したり
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

1.4

芸術の修辞という側面の、もっともいやらしい使用法

70〜80年代の産業的衰退、それに加えてベトナム戦争の泥沼化、反戦ヒッピー文化の廃退、差別や児童虐待、夢を実現することがおとぎ話でしかなくなっていく
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

5.0

書くべきことなどないのだけれど

表面的な難解さなど微塵もなく、ただただ透き通っている。
時間の流れ、空間の広がり、あの味と匂い、交わす言葉。
歴史と精神、感情の機微。
その密度の高さは、名に限りなく
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.0

この映画のおもしろさをわからせて欲しい

友人主宰の映画祭にて鑑賞。
世間的評判もとてもよいそうで、その理由もわからないでもないのだが、わたしには響かなかったという感じ。

その理由のひとつは、わたし
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.1

一点を除けば傑作

すごくいい作品だと思える要素と、どうしても受け入れられない邪悪さがあって、どうにも冷静に観れない。

全体を構成する映像的センスは好きだし、とにかく、バスの遊戯のシーンは深く感動す
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

4.7

みんな観た方がいいけれど、観ない方がいい(観ないで済むなら)

芸術に関わる人はこの作品を丁寧に精読してみていいのだろうと思う(これは職業的にといった意味ではなくて、この世に生きている以上芸術に関わら
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ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

4.0

悲しいホラー、謎への追憶

「解明された謎」はもはや謎ではないし、「解明されることが約束されている謎」は謎のフリをした謎でないもの(明瞭なもの)なのだから真に謎ではない。
「真に謎なもの」は究極的にも
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あん(2015年製作の映画)

3.7

全生園を覆う木々の言葉

邦画に限らないが、ヒューマンドラマものによく見られる、鑑賞者に泣くことを強要してきたり、感情表現を履き違えた過剰演技が生理的に苦手で、かなり警戒しながら観た。
まあ御涙頂戴な
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エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

1.2

ワグネリアンってなんか怖いよね

さっき観たはずなんだけど、なにも思い出せない。
ああ、ワグネリアンって怖いなーって思ったんだった。
これって優生思想に取り憑かれた者がクリエーションをすると
ロクなこ
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プロメテウス(2012年製作の映画)

1.2

暗黒舞踏が登場したら停止ボタン。

プロメテウス神話を下敷きに、人類の創造者としての「エンジニア」と呼ばれる宇宙人がいるのだ、という設定で各々が想像を膨らませるだけで十分。
冒頭1分ほどのランドスケー
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マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

2.6

現代の世界の雛型

一作目に続いて、二作目と合わせてのレビュー。公開当時の評判はどうだったのだろう。当時日本で暮らしていなかったので、リアルタイムで観ていないし評判も知らない。公開からずいぶん経ってか
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マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

2.6

単独作としては観れないので、三作目と合わせてレビュー。

マトリックス(1999年製作の映画)

2.5

かつての金字塔も陳腐に映るのは・・・

久々の投稿となってしまった。ネトフリのおかげでレビュー待ちの山。
重い筆を進めるために、気軽に書けるものから書こう。

この映画が公開当時、とてもセンセーショナ
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人狼 JIN-ROH(1999年製作の映画)

3.9

群と個として生きること、一人の少女の物語

昔から好きな映画だったが、香港の世情から思い出し、久々に見直したので書いておく。

押井守のケルベロス三部作、第二次ワイマールの統治下にある日本というフィク
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

2.1

たぶん何か掛け違えただけなのかもしれない。

友人の推薦ということもあって鑑賞したのだけれど、どうしてかな、まったくダメでした。この映画自体の評価も高いようだし、たぶん私が何か掛け違えてしまったのだろ
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.6

現代のビルドゥングロマンの佳作

インスタグラムやツイッタ—、youtubeなどのSNSを自己顕示と憧れを誘発させる(愚劣な)メディアだと批判することは容易い。だけれどもこの映画はそれを陶冶(Bild
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アートのお値段(2018年製作の映画)

2.6

いくつかの落ち度を前提とした上で観る分には。そうでないとアートに対しての偏見を助長しかねない。

サザビーズの現代アートのオークション開催までの過程を経糸に、それに関わるオークショナー、コレクターや批
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

1.9

私の中の少年が見たがってたゴジラはこれ!

庵野シン・ゴジラは、それはそれで面白かったけれど、1954年のゴジラの系譜と言われても、私自身それには明るくなく、どうしても実写版エヴァとして見てしまう。
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ペトラは静かに対峙する(2018年製作の映画)

2.5

 アーティな彼(女)は制作することをやめるだろう。もしくは商業主義にはしる。

いまハヤリの諸要素をいい感じで取り込んでみた、アーティ映画。雰囲気はあるし、スペインの田舎の風景は美しい。
この映画って
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.6

優れた芸術的知性による思考。エンドロールの歌は救済。

多くのメタファーがとても複雑に絡み合っている。
メタファーの大部分が新約聖書由来だろうから、それに明るくない私が見る限りではほとんど読めていない
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運び屋(2018年製作の映画)

3.3

これといったことが言えないのは、私がまだそこに至っていないからか。

イーストウッドの実人生と、基になったニュースと、映画としてのフィクションと。そしてそれを(家族で)演じるという事実とが、片意地はら
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オブリビオン(2013年製作の映画)

2.5

主題が後退し、娯楽化する。映像はきれい。

公開当時映画館で観て、それなりに記憶に残っていたのでamazon primeで再見。
清潔感がある未来像の映像はスタイリッシュでかっこいい。それが偽りの清潔
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さよなら、僕のマンハッタン(2017年製作の映画)

2.9

青年が大人になるために。Love New York

『スタンドバイミー』が子供が青年になる物語だとすれば、この物語は一人の青年が大人になるためのイニシエーション。
高校生の頃に観れたら、きっと突き刺
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女は二度決断する(2017年製作の映画)

4.1

芸術作品は道徳的善を語る必要はない。

この物語は決定的なミスリードによって構成されている。劇中、家族をテロで殺された主人公の女性は、若いネオナチのドイツ人ふたりが犯人であることを疑わない。鑑賞者も自
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.1

これは再現か表現か?そして芸術か、あるいは。

ずっとレビューが書けないでいた。この映画はなんなのかよくわからない。

鑑賞中も直後もすごく面白かったし、感動もしたりした。それほど好んで聞いたことがな
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.6

存在と領土と襞、存在への恵愛

個人の存在とそれが“なにか(歌・詩)”を残すことの意味とはなにか。
劇中で能弁と語られるように、虚無の前では無意味なのだろうか。
その一つの応答がこの映画で描き出されて
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終わりゆく一日(2011年製作の映画)

4.2

少し離れたところから、再び物語を紡ぎ直すように

スタジオに流れ続ける、監督トーマスに向けて投げかけられる留守番電話の音声と、スタジオからの眺めを撮り続けた映像。
そのどちらも確かな出来事の断片ではあ
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.2

似ないように逃げてはいるが。

冒頭と途中の大気圏での飛行シーンだけでも映画館で観る価値がある。
だが、それ以上になにか思考しつづけられるかというと、特にない。

既存の優れた映像達に如何に似ないよう
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