砂さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

砂

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パプーシャの黒い瞳(2013年製作の映画)

3.9

文字や記録(歴史)を持たないジプシーの初めての詩人、ブロニスワヴァ・ヴァイス(パプーシャ)の波乱の人生を綴った作品。
時系列がバラバラで最小限の表現で切り替わるため少しわかりづらい。

パプーシャはジ
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地下水道(1956年製作の映画)

4.0

「灰とダイヤモンド」から遡る形で鑑賞。ワルシャワ蜂起末期、地下水道に追い込まれたパルチザンの凄惨な最後を描いた作品とあって映像だけでなく作品のトーンも重々しく一片の光もなく暗い。

序盤の激烈な戦闘シ
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ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

3.3

まず本作を観るまでスリランカで内戦がおこっていたことなど全く知らなかった。作中でも話が出てくるが、そもそも日本人でもスリランカが地理的にどこにあるか答えられる人は少ないだろう。
パッケージに記載されて
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

-

町山智浩氏の解説付き、午前10時の映画祭にて鑑賞。
あらかじめ時代背景について解説を受けたことで、作品の展開が飲み込めた。いかにポーランドという国が歴史的に大国に翻弄され、蹂躙されていたのかを知ること
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夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

4.2

湯浅政明監督作にハズレはないと思っているが、本作もかなり面白かった。制作がCGということで最初はやや違和感があったが、むしろそれが作風にはまっていて113分見入ってしまった。

ストーリー自体はわりと
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イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

3.0

1963年、共産主義国家だったチェコスロバキアのSFという珍しい1作。
そういう背景を考慮すると、SFそのものの先進性と資本主義国家への敵愾心が見て取れておもしろい。
謎の宇宙船発見から、20世紀云々
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旅芸人の記録(1975年製作の映画)

4.3

1939年から1952年までの戦時・政治的混迷を旅芸人一座を軸に数多の国難に翻弄されるギリシャを描いた一大抒情詩的大作。

先に書くと、この映画は舞台背景がわからないと本当にわかったと言えないタイプの
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ヴェラの祈り(2007年製作の映画)

4.4

「父、帰る」や「ラブレス」のアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の二作目。

後の作品でもよくテーマとして取り上げられる、家族・夫婦における愛情の断絶が本作でも描かれている。
感情の機微がさりげなくてはあ
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

3.0

爆音映画祭にて。バーフバリの後編

キャラクターの魅力、作り込まれた映像、VFXの魅せ方などボリウッドもすげぇところまで達してんだなぁと思う次第ではあるのだけど、正直なところ評判ほどの感動や興奮はなか
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

3.0

爆音映画祭にて。
なんかとんでもない人気を誇るインドの叙事詩的大作映画の前編。

感想は後編とセットで。

パシフィック・リム アップライジング(2018年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

怪獣プロレス映画、パシフィックリムの続編。

デルトロの降板で覚悟はしてたが、予想以上に
別物だった。オタ臭さがブリーチ(漂白)され、ただのロボット映画と大差なくなってしまった。
どうしてもデルトロと
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名探偵コナン から紅の恋歌(2017年製作の映画)

3.8

2017年公開の名探偵コナン劇場版。
ちはやふるをコナンでやるとこんな風になるという作品だ。

これまでも劇場版のコナンと言えば犯行動機に似つかわしくない大規模爆発をはじめとんでもない規模のスペクタル
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神々のたそがれ(2013年製作の映画)

3.0

地球から800年ほど文明が遅れたとある惑星に地球から派遣された学者たちが目撃する暴政と虐殺の連鎖を映し出す、アレクセイ・ゲルマン監督の遺作であるSF作品。
SF映画となってはいるが、舞台はほぼ中世ヨー
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エレナの惑い(2011年製作の映画)

3.7

心臓発作にきっかけに己の死を予期して夫が遺言状の作成を決意したことから生じた裕福な高齢夫婦、家族の歪みを描いたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の作品。

イメージしていたものとはだいぶ違う物語であった
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複製された男(2013年製作の映画)

2.8

「メッセージ」のドゥニ・ビルヌーブ監督作。
大学講師が自分にとても似た俳優を見つけコンタクトをとったことから奇妙な運命をたどる。

これはまず邦題や煽り文が良くないというか、恣意的すぎる。
宣伝によっ
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ラブレス(2017年製作の映画)

3.9

離婚寸前の夫婦の子供が行方不明になるという事件の顛末を描いたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の作品。

同監督の「裁かれるは善人のみ」と同じく、映画の象徴とも言える写真的なカットと悲痛な曲(これがペル
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

突如世界に現れた12体の謎の物体。目的を究明すべく、言語学者である主人公が物体の内部でコンタクトを図るSF映画である。

いわゆる未知との遭遇である。それを言語学を用いた意味の解読に焦点を絞り、段階的
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新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「新感染」というアルバトロスみたいな邦題やパンデミックパニックというジャンルからひどいものを想像していたが、よくできた映画だった。

かなり色々なものを詰め込んですごいペースで駆け抜けるが、けっこう予
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.0

何らかの原因によって世界中で子供が生まれなくなり18年たった荒廃した近未来で、奇跡的に子供を身ごもった女性を昔の妻率いる反政府組織に手引きされ、とある場所へ連れていくため奮闘する男の物語である。

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ハーモニー(2015年製作の映画)

3.4

伊藤計劃原作のSF映画。
本レビューは原作小説の内容に準拠する、本作のストーリーそのものを評価するものではない。
正直なところ数年前に読んだのでディティールは忘れている。

はっきりいってアニメになり
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裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

3.4

父、帰る のズビャギンツェフ監督作。権力に挑むも翻弄される家族を描いた悲劇である。

本作は現代ロシアの権力腐敗、正教の権威、善と悪が主題である。
一縷の希望がとあることに端を発し悪化を迎え最悪の方向
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ハードコア(2015年製作の映画)

3.0

誰かやるであろうと思っていた、全編Go Proで撮影されたFPSアクション映画。

POVであらゆるアクションの要素を詰め込んでおり、視点が変わらないのに飽きさせない。ガンアクション、格闘、パルクール
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ストーカー(1979年製作の映画)

-

数年ぶりに再鑑賞。

初回鑑賞時は正直寝そうだった。普通の反応である。
今回は没入し、エンディングまで観た。

時間は経ったが2回目ということもあって、新たに気づいたこと・わかったことはいくつかある。
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父、帰る(2003年製作の映画)

3.9

近年注目を集めるアンドレイ・ズビャギンツェフ監督作。
不通だった父親の12年ぶりの帰郷に戸惑う兄弟を描いた映画。

冒頭のエピソードで明示されるように、兄アンドレイと弟イワンの性格は対極である。
強権
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.7

「感染」した者だけに見える、人のような何かがゆっくりとどこまでも追ってくる、というホラー映画。
感染は人と寝ることで移すことができるが、その相手が殺されれば遡って再びかえってくる。「呪い」のようなもの
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愛、アムール(2012年製作の映画)

-

ミヒャエルハネケ監督作。
ハネケと言えば不条理な作風で知られるが本作では人間にとって避けようのない「老い」それである。
いわゆる老老介護を扱った作品で、見ているのが辛くなってくる。

幸せな老夫婦の生
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ワールド・ウォーZ(2013年製作の映画)

2.0

 世界規模で起こったパンデミックに対する人類の戦いを描いた同名小説の映画化。
長大な小説は少しだけ読んだが、あっちは世界中の戦いの後日談という形式で映画版は元国連調査員のブラッドピット演ずる主人公が感
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スノーピアサー(2013年製作の映画)

2.5

ポンジュノ監督のSF作。地球が寒冷化した世界で、残された人類は世界を一巡するレールを走る超大規模編成の列車に居住している。
列車の車両順がそのまま社会階層となっており、主人公は最後尾=最下層の人間であ
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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)

1.5

昔あの実写版「デビルマン」を映画館で観たが、Huluで観る本作はあの時の気持ちを思い出させてくれた。

オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

4.2

今回はまさにクリストリッツァ映画の集大成と言えるような、凄まじいエネルギーでジェットコースターのように激動する喜悲劇。本人が主演も担い、いつも以上にその落差が激しく悲劇色が強い逃避行ラブロマンス。
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狼の時刻(1966年製作の映画)

3.0

ベルイマンということで、少し身構えて観た。がインタビューの通り、ホラー映画の文法そのものと言える展開であったことに悪い意味でなく拍子抜け。インタビュー無しであれば随分と深読みできてしまいそうな象徴の数>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.0

監督談では奇跡のお伽噺、ていうことであるけど詩的な演出と過酷な旅の対比が胸に来る。印象に残るシーンが多く、時代の奔流に残された黄昏がまた悲しくも美しい映画。だからこその希望、であろうか。

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