Taichiさんの映画レビュー・感想・評価

Taichi

Taichi

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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宇宙において万物は常に動き続けていて、変わらないものなど存在しない。映画作品もはじまりとおわりの間のリニアな運動の集合体であり、観客の心の中で渦巻く感情も作品と呼応するように動き続ける。

そんな「動
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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ヴィクトリアが自殺をするまでに至った人生を考えると、生きることの純粋な喜びや苦しみが、再び彼女の身体を通して経験される(しかも実に娘によって)というのは、あまりにも恐ろしく狂った設定である。

この原
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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冒頭のスーパーのシーンで次々とバーコードを通される肉塊に引っ張られるかのように、画面はカラフルに埋め尽くされていく。木々の葉からすべての色素を奪い取ったかのような鮮やかさで、恐ろしさすら感じる。

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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

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雄大な川を固定カメラで捉えた画面に、船体下部のサーモンピンクが鮮やかな大型船が左からゆっくりと入ってくる。オーディエンスへ作品の向き合い方を提示する意味で、冒頭のワンカットはあまりに完璧で美しかった。>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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漂白された季節感、銭湯と居酒屋で放映されるのはスポーツ中継のみ、カセットテープと古本(何故か映画は含まれていない)、正方形に近いアスペクト比…。トイレ清掃員の平凡な日常の繰り返しのようでいて、平山の世>>続きを読む