667djpさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

1よりも断然良かった。1では役所広司の浪花節的なキャラクター造形に集約していく展開に違和感を感じていたが、こちらは完全にニューシネマ。松坂桃李、白石和彌はそれぞれ天才ではないが故にものすごく「上手い」>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.9

ルックの問題はさておき、蒼井優の「お見事」の為だけにこの映画があるということがお見事だった。NHKの8K企画で映画たろうとする辺り、黒沢清のシニカルさ、みたいなことも思ったり。

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

観ている間ずっと「フィンチャーがいかに上手いか」をひたすら実感する映画だった。
なんかインテリぶっても結局マット・リーヴスってやっぱりクローバーフィールドの人だもんなぁと。

いかんせんストーリーが思
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.9

全く事前情報無しに見たので、この三幕構成になるほどなぁと。
ジョディ・カマーがめちゃくちゃ絶妙に演じ分けてる。
真実は人の数だけあるが、事実は一つ。
逆を返せば事実は一つだが、真実は人の数だけあるとい
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

3.3

この作品の取り組みは当事者・非当事者という分断の回避であることは理解出来た。「わかってよいのか」という煩悶はとても切実だ。それゆえにドキュメンタリーというジャンルが宿命的に持つカメラの後ろにいる人間の>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.0

これほど的確に映像制作、特に編集の苦悩を表現したアニメがあるだろうか。
これは編集作業を含むディレクション業務をした人間なら誰にでも何かしら刺さる。

何かを得るために何かを捨てなければいけないという
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

豪勢なキャストの7割が飾りなのがただただ勿体無い。エリザベス・モスとルパート・フレンドの使い方…。

テキサス生まれのウェス・アンダーソンが持つ過去とヨーロッパへの憧憬とルサンチマンがあいも変わらず爆
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さがす(2022年製作の映画)

3.6

今の日本映画界において下からの目線でエンタメを作る存在は非常に稀有。
面白く観たんだけど、娘が探していた「父」(鉤括弧付き)をどう見つけたのか、というこの映画の一番キモになる部分が不明瞭なのが気になっ
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.7

妙な味わいのある映画なんだけど、どう見ていいのかよくわからないなーという印象。ある種ダメおじさん教師たちのビターなオフビートとして見るのがもちろん正解なんだろうけど…。
妻との関係や死んでしまう友人の
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「有望な若い女性」の死を巡る復讐譚。
三番目のチャプター、罪を償いたい弁護士の存在が効いている。逆を返すと彼の存在を免罪符にすることで「善人」であるライアンの罪を照射する構成に少し都合の良さを感じた。
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

もちろんマルチバースを逆手に取ったサプライズに止まらない展開や、それを許すために様々な大人の事情を解きほぐしていった製作陣の英断など色々胸熱なんだけど、 とにかくこのラストのあまりの切なさがもうとにか>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.4

パワーはあるんだけど引っかかるポイントがいくつもあって手放しで絶賛出来ず。

シナリオレベルだとイジメと受験戦争という大きな問題が二つ横たわっていて、この並列がなんかバランス悪いというか、物語のために
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.2

今作は魅力的なテキストと意図的な演技メソッドの段差、そして映画的ショットの三つが組み合わせることで独特の異化効果と緊張感を生み出すことで成立している。
改めて、ドライブマイカーで感じていた村上春樹的な
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.4

最高。アダム・マッケイの圧倒的なインテリジェンスとユーモアによる究極の「アンチ・アルマゲドン」。メリル・ストリープのオチが本当に最高で大好き過ぎた。2021年ベスト級。「映画で政治を語る」とはこういう>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ものすごく巧妙で卓抜した手腕であることは認めるが、ほんっっっとうにジェーン・カンピオンは肌に合わない。

ホモソな環境とその態度で自らの性的指向を隠す男が殺されるまでの話なんだけど、なんというかこれを
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.6

やろうとしていることはとても理解・共感出来るのに、少しのところで溢れていく勿体無さのようなものを感じたのが正直なところ。

真実を明らかにすることが「正しい」のかということが一番の問いなんだけど、タイ
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空白(2021年製作の映画)

4.2

スターサンズ(というか河村P)の手がける作品の持つプロパガンダ性や、藤井道人とのコンビによるしょうもない脚本の作品に辟易していた中、吉田恵輔はそれを吹き飛ばすシナリオワークと熟練した演出で(「机のなか>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.2

ショーン・レヴィの職人的手腕よ。
ディズニーによる買収を逆手に取った目配せが素晴らしい。

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

3.9

記者側はまぁわかるとして、現役の保健相の動きをキッチリ撮れることがまずすごい。(あの大臣が監督にいつ来ても良いと言ったらしい)

あれだけ明確に既得権益がありながら選挙でバカ勝ちする辺り、逆にこの映画
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.8

いやキャラ多いし捌くの大変だよね、とは思うんだけど…なんか散漫。

以下乱文。
009を思い出したのはおれだけじゃないはず。
またしてもリチャード・マッデンはキット・ハリントンのかませ犬となってしまっ
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.0

どうなんだろーカンフー地味なんじゃねーかなーと舐め腐って見に行ったけどガッツリドラゴンボールをやりきっていてとても良かった。MCUの単独タイトル一発目まとては抜かりのない出来。オークワフィナがとっても>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.7

うーん…この時点で是も非も言えないや、というのが本音。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ全開の世界観設計と美術とそれらを映し出す映像・音楽はとにかく素晴らしい(なんかもうハンス・ジマーはヨハン・ヨハンソンの霊すら
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

3時間とはとても思えない時間感覚で見せる「映画らしい映画」。
正直濱口さんらしいダサさや村上春樹的な鼻持ちならなさがあるにはあるんだけど、それをロジカルな映画力で押さえ込んでいく手腕がホントに素晴らし
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.3

バケモノの子、未来のミライでもういいかと思っていたけど、変な思想やテーマ性を引っ込めて、現実に即したモチーフで想像以上にエモーショナルに作っていたことがやや成功していた。もちろんシナリオのツッコミどこ>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.8

ゼロ年代特有のあの閉じた空気感みたいなものと、震災とは別の観点から「終わりなき日常」が終わること(死が側にあること)を描いている点には共感を持った。ただ生々しさというかなんというか…アイドルの現場にあ>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.9

いや、めっちゃ楽しいし音楽もサイコーだったんだけどなんか物足りなさを感じてしまったのはパイラ人のせいかもしれない。そういうオタク的目配せとかもういいよ、とも思う自分がいたりする。
構成的にも前半のブラ
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.0

これまでのガンダム作品と映像の見せ方の思想が根本的に異なる。
とにかくリアリティと解像度を上げられるだけ上げる。そして富野汁の原液濃度を落とさない。

これを徹底したことでガンダム(自体もロボットアニ
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

2.5

河村光庸と藤井道人コンビはもう観ないつもりだったけど撮影がとても良いと聞いて。

この2.5は全て撮影の今村圭佑に。新聞記者の汚名を晴らすに充分なくらい、日本映画の撮影のレベルをグンと下から持ち上げた
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.1

飽和しまくったタイムループものを素晴らしい手際で90分台にまとめた良質なラブコメ。自分が知る限りここまで成功しているのはミッション8ミニッツ以来じゃないかしら。
クルアンビンを使いこなす音楽の趣味も完
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ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.3

アメリカン・ユートピアを観て再見。
懐古的な要素を差し引いてもこちらの方が断然上。

パフォーマンス内容は時代やらアーティストとしてのピークやら色々あるけどそれでも現在のデヴィッド・バーンもまた遜色な
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.9

デヴィッド・バーンは今も変わらずユーモラスでシニカルでインテリジェンスに溢れるアーティストであることをまざまざと。楽曲、詞も含め、バーンの創作は今もなお通じる普遍性があり、それを再解釈しエンタメに仕上>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.6

とにかく音楽の使い方が素晴らしい。これは好みの問題だけどティモシー・シャラメに依存しまくった(それだけ監督たちが惚れたんだろうけど)演出設計にはちょっとノれず。
これは燃ゆる女の肖像と同様なんだけど、
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

認知症のアンソニーの視点をサスペンスフルに描くという流れを理解してからその後は大きな展開はなく、体感的な演出に魅力は感じつつも少し興味が削がれた。うーん。

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.6

2017年、あの小池百合子が巻き起こした混乱の渦中にいた当事者のドキュメントとして面白く見た。

あの時醸成された「空気」こそが敵となってしまった不条理。それは今なお続いているし、終わる気配がない。
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