667djpさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

3.8

ロード&ミラーとソニーピクチャーズアニメーションの素晴らしいお仕事。ポストピクサーたりうる存在になることに疑いはない。ただ家族の物語自体にあまり新規性がなかったのは残念。

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.7

おじさんとタコの一年の恋物語。
ひたすら大好きだった彼女の思い出を語りながらタコと戯れる映像。

一体何を観させられてるんだろうという気にちょいちょいさせられるカルト映画のはずなのに、おじさんのまっす
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.6

女性にとっては当たり前に感じていた男性性のしょうもなさと恐怖をこれでもかと突きつけられる。という意味ではこれは男性が見て我が胸を突き刺されるべき作品と言える。
実は日本でもyoutubeとかで探すと、
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.0

ノマドランドと同様にアメリカの凋落とそれでもなお残る誇りとの狭間で、今アメリカ人であること、西部の人間であることのアイデンティティを模索する物語。クロエ・ジャオを二作見て、改めて人物や景色(今作の場合>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.9

すごくイヤミな褒め方で申し訳ないが、「花束みたいな恋をした」が終始から回りして出来なかったことを、全く違う方法論できっちりこなしていた。

固有名詞の引用の羅列などナンセンスで、俳優や場所のフィジカル
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

圧倒的に生々しい大陸の風景というフィジカルと、フランシス・マクドーマンドのフィジカルが渾然一体となって、所謂ネイティブアメリカンの「スピリチュアル」ではなく今現在の「アメリカンスピリット」がドラマとし>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.9

健常者とは異なってしまった人間はどう生きればいいのか。今の自分をどのように受け入れれば良いのか。そこに答えはなくただ絶対的な喪失だけが存在する。それを認める過程の2時間であり、絶望と希望がない混ぜにな>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

「エヴァの呪縛」というキャラたちだけでなく、作り手、観客全てが囚われていたものを現実世界へと解放するためにあらゆる手が尽くされていた。その現実世界とはフィクションも可能性も夢も孕んでいる。
-0.1は
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.7

周囲の人々が絶賛していたのでようやく。「赦し」と「男性の家父長制に対する呪いからの解放」がテーマでそれ自体は興味深く、番組とのメタ構造も秀逸だった。
マリエル・ヘラーのスタティックな演出が冴えに冴えて
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.7

紆余曲折ありまくった新シリーズだけど、JJの豪腕でなんとか落としたという印象。

つまらなくはないんだけどねー…なんだろうねこのパターン化された流れ。そして三作通じてついぞベン・ソロって何だったんだろ
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.0

何がしたかったのだろう?

坂元裕二はテン年代ポップカルチャーに対してなんか恨みやルサンチマンを感じてるのかしら?引用された作家やアーティストの名前が全て上滑りしてことごとく意味を持たない。

固有名
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ダンシングホームレス(2019年製作の映画)

3.2

登場人物たちへの取材的な深度が浅く、ドキュメンタリー的魅力に乏しいと感じた。ホームレスの人たちの身の上話の見本市という枠を出ていないんじゃないか?振付師に対する取材もとても甘い。

冒頭とラスト、ダン
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はりぼて(2020年製作の映画)

3.9

東海テレビと同様、地方局だからこそ作り得た笑えるけど笑えないブラックコメディドキュメント。

地方市議でこのレベルということは、国会レベルだともう魑魅魍魎なんだろうなと軽く想像出来る。

最後に主人公
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.9

つまらない訳ではないんだけど、トランボとストーリーラインがほぼ一緒ですごい既視感だった。
ポストトゥルースの時代に対するアンチテーゼに仕立てた辺りはさすがだなと思いつつ。

ただこれ撮るくらいならマイ
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.0

「やりたいことがない」とか「私には何もない」とか、色々なものが飽和した今の時代に若者が抱える葛藤を、生きる意味を求められ続けた結果生まれることを拒絶する存在と、既に生きる意味を得たにも関わらず死ななく>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.7

視線の演出、フレームの絵画的強度、見せどころのワンカットなどスタティックな映画的表現満載の一作。それぞれのところで「おお!」てなるんだけど、それはそれというのが本音。舞台が18世紀ということもあるんだ>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.2

最高に楽しい一作。まず設定が秀逸。脇目も降らず勉強ばっかやっていい大学に入った女の子二人がよくよく聞いてみたら、自分らが見下してた遊びまくってた奴らも同レベルの大学に受かってて、あたしたちの青春なんだ>>続きを読む

手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.0

なんも前情報入れずに見てなるほどなと。人は記憶を改ざんし、忘れていく生き物であるということ。その中で日常を取り戻して行く。幸せになる。しかし過去が消えることは決してない。それが歴史である。

不条理と
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預言者(2009年製作の映画)

3.9

面白いし、最後までグイグイ引き込まれるんだけど、アラブ系のマフィアのボスに成り上がったあの優しいラストをどう受け取るか。もちろん彼がムハンマドであり、殺したレイェブがジブリエールだってことはわかるんだ>>続きを読む

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

3.7

タクシー運転手同様、恐ろしくシナリオが上手い。むしろ上手過ぎてクサい。クサいけど上手い。タンポポ、枕、殴るなど小ネタの反復などいちいち憎い(ちょっと鼻につくくらい)。長いし地味だけどそれでも見せ切るエ>>続きを読む

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)

3.6

撮影も演出も演技も良いが、脚本にはっきり弱点がある。主人公が元妻に対して何の罪を負っているかの具体が曖昧なままなことだ。酔って裸でカメラに映り、なまはげの文化を汚してしまったことはあくまできっかけで、>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

1987の方が好きだけどつくづく民主化を勝ち取った国ってのは映画に対する気合いの入り方が違いますわ。ちゃんと歴史的政治的事実を咀嚼してエンタメに還元するんだから。

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.1

監督が収監中だった本人と連絡をとりながら制作し、朴槿恵政権時の圧力をかわすために「工作」という仮タイトルで進めたというエピソードがマジですげえ。
というか普通に近過去の政治ドラマをこれ程のスパイエンタ
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.2

とにかく素晴らしかった。 
パリに一度住んでいた身としては、あの小さな地域の中の人種、政治、イスラモフォビアなど、あらゆる姿を多面的に見せる映画的腕力に驚愕した。骨太かつ重厚な人間ドラマでありながら、
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.8

全くノーラン信者でもなんでもないし(ダークナイトは好き)、彼の作品を難解な映画だと思ったことは一度もない。テネットも別に難解じゃあないよねえ?時間逆行ゲームのルールがちょい複雑に見えるってだけで主人公>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

2.5

途中で何度も見るのをやめようと思った。描いているものがあまりに…とかそういうことでは全くなく、単純に映画として見る人を面白がらせようとしていないからだ。

よく日本の映画の学校に通うと「映画は人間を描
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.1

こういうのやらせたらホントにアーロン・ソーキンはうまいなあ。凄く複雑で難しいバックボーンや言葉を臆することなく描いてわかるように見せ切る手腕よ。時系列を複雑に織り交ぜたシナリオと編集・演出がキレッキレ>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.0

ジョナ・ヒルがこんなにリリカルでエモーショナルな映画を撮るなんて思わなかった、というのがまず第一の感想。ほろ苦いノスタルジーと垣間見える90sの少年たちの生き辛さとそれを埋めるスケートボード。映画とし>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

3.3

うーん…。不思議と見れてしまう魅力があるんだけどインタビュー見ないとわからんだろこれ。

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.7

ラストベルトに住むスケボー少年三人の群像。貧困と暴力の連鎖とそこから抜け出そうとする少年たちの物語はエモーショナルなんだけど、決定的に何かが足りないと感じた。多分それは技術的なことなんだけど。
恐らく
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

ランティモスは毎回良い不快さを与えてくれて今回もそうなんだけど、寓話的悪夢の見せ方がホント上手。構図やワークがいちいちハマる。広角であることがこんなに怖いかって思わせる演出は白眉。
でもこれギリシャ神
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花に嵐(2015年製作の映画)

3.7

聖なるものの前日譚的な物語として面白く見た。面白かったけどまだやや実験段階であることと、「ファムファタル」的なものへの掘り下げ含め、聖なるものへの一歩目という感じかしら。ただカメラワークとそれに準じる>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

3.8

原作未読。オカルトバトルものとしては非常に楽しく拝見。
とはいえ、このジャンルで言えばやはり白石晃士の「コワすぎ!」シリーズには敵わないなと。
撮影がちょっとイマイチで告白や渇きの阿藤さんの方が個人的
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はちどり(2018年製作の映画)

3.9

韓国フェミニズムの映画界からの一手というのが第一印象ではあるんだけど、フェミニズム文脈で括ってしまうと、この作品の持っているスケール感を小さくしてしまう気がする。
90年代という変革期の韓国で一人の少
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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ダルデンヌ兄弟お得意のドキュメンタリータッチで、手持ちのカメラワーク(ほぼ50〜70mmくらいの単焦点)と編集(場面転換の実景とか全くない)はもはや芸事の域だなと。
とはいえ自分はあんまり乗れなかった
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