よねっきーさんの映画レビュー・感想・評価

よねっきー

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Here(2023年製作の映画)

4.9

森の緑に包まれる。木々のざわめきに耳を澄ます。背景を電車が走り抜けるのだけど、その音が聴こえない。あの「聴こえなさ」の感慨を、なんと表現したものか。

映像と音響に齟齬がある。しかしそもそも、映像と音
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.2

ザック・エフロンの役作りをはじめ、実話に対する狂気的なまでの誠実さが光る。省略も上手いし、演出も手堅く、不気味に淡々としている。だからこそラスト付近の飛躍がすごく良く感じられる。

だけども、一本のプ
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.9

結構前に観た。モリコーネの劇伴をはじめ、映画があまりにも贅沢。そんであまりにも変な質感。他で絶対見れない独自性。タランティーノを観たいという欲望は、タランティーノを観ることでしか満たされないことをつく>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

特筆すべき映像美。長回しや移動撮影が端正だし、画面の切り取り方が巧い。しかし、ショットを割ること、つまり世界を四角く切り取ることは、避け難く「捨象」と「排除」の意味合いを帯びる。

終盤、ひとりの登場
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

ラスト含め象徴的なショットが数々ある通り、原爆の父が原爆から「目を逸らす」話だ。

劇映画はそもそも嘘っぱちであり、描けないものがあるということを、たぶんノーランは分かっている。映画はショットを切り返
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.4

面白いし良い映画なんだけど、タランティーノにしては割と普通だなと思ってしまった。おれがタランティーノに求めているのは「望外」「予想外」「想定外」なのかもしれない。おれの貧しい想像力では辿り着けないよう>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.5

おもしろくないにも程がある泣

映像と音響については信頼してたんで、ストーリーは多少退屈でもマア良いでしょうというつもりで観始めたが、なんと今回、映像も音響も面白くない。驚くべきことに、前作から手数が
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.4

序盤の「面白くなさそう………」という不安を吹き飛ばす快作、いや怪作。インド映画も顔負けな演出の足し算で、コテコテに魅せる魅せる。わかったわかった、もういいよってくらい畳み掛けてくるので爆笑。すげーお腹>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.5

かなりシンプルな追いかけっこを音楽ゼロで魅せきっていてすごい。「おそらく本来武器ではない何か」をメインウェポンに据えたり、細かいハズしが光る。序盤のモーテルで工作するシーンも良かったし、中盤のホテルは>>続きを読む

カーズ(2006年製作の映画)

4.2

あまりにも世界観が突飛だが、夜の道路のさみしさがちゃんと映っているから好きだ。牛のシーンをはじめ、初期ピクサー作品らしい不可解さもまだ残っている。トイ・ストーリーみたいな、子どもにとって原風景(トラウ>>続きを読む

イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

4.7

何故か制作順で観ることを自分に課しているタランティーノのフィルモグラフィ。会話とバイオレンスの緩急の芸術が来るとこまで来た感じがある。ポップな画面作りが逆に円熟を感じさせる。銃撃戦の編集をはじめ、観な>>続きを読む

ウォッチメン(2009年製作の映画)

4.2

たしかにまあ地味ながらオモロいんだけど、なんというか、MCUが長い年月かけてやっと成し遂げたことのその先をたった一本の映画でやろうとしている感があり、若干無理がある。めちゃくちゃ意欲的な作品だったこと>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.4

一緒に踊ったという曲のことを、観客もあまり覚えていないのが寂しい。娘との対峙を済ませて、ひとり座って佇む父親のシーン。画面のからっぽなかなしさが印象に残っている。しかしやっぱり、南に行ってからの話が観>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.6

主演の女の子の顔が画面を保ちすぎている。そんな幼い子に映画の重心を託していいのか。ちっちゃな体と大きな機関車の対比とか、言葉にならない情感がスクリーンを駆け抜ける。タイトルを窓の形で回収するところにグ>>続きを読む

ふたりの人魚(2000年製作の映画)

4.6

手持ちカメラの映像が割と緩慢に繋がれていくんだが、映像屋の主人公、あと一人称視点という設定があるおかげで、締まって見える。物語性もそうだけど、映画監督にとって見えてる世界ってこうだろうな、と思う。>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

不快だけど、そんなに不可解ではない。飽くまでエンタメとしての不快さなので、スッキリしている。もっとおもんない映画観た時の方がおれは不快。観てから数日も経つんで思い返すのが難しいが、結構、好きだったよう>>続きを読む

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

4.2

香港旅行に行くことになったので、観た。王家衛の映画初鑑賞。フォロワーほぼみんな絶賛だし、どうせ好きだろうと思って観始めたら、ちょっと苦手なタイプの映画だったのでウケてしまった。冒頭、タイトルバックの銃>>続きを読む

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

4.6

ほのぼの愉快な西部劇って感じで良かった。物語はゆるゆる進むが、決してダラダラとはしてないので飽きない。シンプルなストーリーの割に若干長尺だけど、そこにこそ、この映画の価値がある気がする。

おれは『瞳
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.6

あらすじは端的にいえば「人探し」。いかにも探偵映画的なプロットなのだけど、尋常の娯楽映画であれば絶対ありえない尺の使い方をしていて良かった。「物語のテンポが悪い」という批判も分からなくないんだけど、映>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

なんともバロックな味わい。描写のエグさに若干引きつつも、ストーリーラインは痛快だし、こういう絵本じみた世界観は大好物なので、終始引き攣った笑顔でスクリーンを眺めていた。

邁進するベラの姿が愉快。冒険
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メガマインド(2010年製作の映画)

4.6

ヒーローは生まれながらに良いヤツとは限らないし、ヴィランも生まれながらに悪いわけではない。つまり、彼らは「変身」することでヒーローになったりヴィランになったりするわけだが、これはその「変身」についての>>続きを読む

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2(2011年製作の映画)

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ダンブルドアが言う「言葉は魔法と同じ」とか「頭の中で起きてることだけど、現実じゃないとは限らない」って台詞は、ありきたりながら、この壮大なサーガを書き上げた原作者からのメッセージだなと思ってグッときた>>続きを読む

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1(2010年製作の映画)

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3人組ギスり回。子供の頃にテレビで流し見して、全体的に暗くて倦怠感のある雰囲気に苦手意識があったが、今観ると意外と好きな世界観だった。そういえばおれはもう、全体的に暗くて倦怠感のある映画ばかり観てきて>>続きを読む

ハリー・ポッターと謎のプリンス(2008年製作の映画)

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ハリーがダンブルドアにおいしくない水たくさん飲ますシーンがオモロかったので、友達とお酒を飲むときに真似したい

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007年製作の映画)

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アンブリッジってみんな名前呼んでるけど普通にヴォルデモートより悪くない?

犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.5

いま振り返ってみると、ウェスのフィルモグラフィにおけるひとつの転換点かも。『ファンタスティック Mr.FOX』と比較すると、同じストップモーションアニメでもやってることが全然違うのがよくわかる。

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ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005年製作の映画)

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学校の倫理観とセキュリティが終わっている あんなに大人がたくさんいるのに

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

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なんか急に良い感じになったな……と思ったら監督がキュアロンだった。これ以前の作品は特にハネてないから、実はキュアロンの才能が発見されたのってこの作品のおかげだったりする? 画も演出もキマってるシーンが>>続きを読む

ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

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巨大蜘蛛が大量に出てくるパニックホラーみたいなシーンがあり、演出の古さも相まってマジで90年代映画かと思った。クリス・コロンバスが今もこんな感じで撮ってるのか、ちょっと気になってしまう。

ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

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全然観たつもりでいたが、そういえば腰を据えてちゃんと観たことがない。舞台を観に行くことになったのでイチから観直すことに。2001年の映画なんだな〜とか情報を先に入れてから見たので「なんか演出古くない⁉>>続きを読む

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

4.6

Filmarksのページにおいてはクレジットさえされていないが、めちゃくちゃリン=マニュエル・ミランダの映画だった。作家性がバチバチにハマってる。まあ映画である以前にアニメだしミュージカルなので当然っ>>続きを読む

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.0

前作のことが結構好きなので、キャラクターと世界観のみを引き継いで、ヒーローの冒険譚として再構成する姿勢に全然ノレなかった。自分のオリジンを探求するっていう物語性は別にいいけど、その動機が「どこからとも>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.5

音楽は絶対かけないっていうストイックな作りかと思ったら、最後の最後に変な感じで一曲かけちゃうのだけは作り手の自信のなさみたいなものを感じてちょっと残念だったが……それでも全体を通してなかなか良い映画だ>>続きを読む

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006年製作の映画)

3.5

日本舞台であのバカをやってると思うと気になりすぎて、2を飛ばしてこっちを先に観てしまった。肝心のドリフトがあまり魅力的に映らないのが痛い。やっぱこいつらの向こう見ずなアホさは、ドリフトとかの技術よりも>>続きを読む

ワイルド・スピード(2001年製作の映画)

3.8

なにも期待してなかった分、望外に楽しめた。駆け引きのない直線距離のレースが、演出のおかげでドラマチックに映る。スポーツ映画かと思ったら潜入捜査モノの面白さもあったりして、意外だった。ただストーリー全体>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

嫉妬しちゃったな。こんな静かな映画で、ひとつひとつのショットに圧倒され続ける体験は初めてかも。圧倒的な才能を目の前にして、映画館の座席から溜息をもらすしかなかったのを覚えてる。

なんていうか、ショッ
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