よねっきーさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.6

これ観た後にコンビニ飯食うとかなり美味く感じる。

最近の商業映画に慣れ切った身としては、あまりにシンプルで大胆な物語の構成にまず驚く。どんでん返しってわけじゃないのに、全編117分のうち110分くら
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愛犬とごちそう(2014年製作の映画)

4.5

みんなお互いの思想に折り合いをつけながら生きていて、それってあまり楽しくないんだけど、たぶん美しいことなんだ

あの頃をもう一度(2021年製作の映画)

4.7

長いこと生きてりゃ腰は曲がるし、髪は白くなるし、耳は遠くなるが、人は踊ることを忘れない限り、決して老いぼれはしないのだ

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.7

ニトラムに限らずみんなそうだが、誰しも被害者の側面と加害者の側面を抱えていて、そのふたつって実は釣り合わない。むしろ矛盾する。「あいつも辛いんだ」なんてセリフは被害者にとっちゃ何の言い訳にもならないが>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.4

飽くまで「肩の力の抜けたアクション映画」として非常に良質。音楽とくだらないユーモア、派手な映像をリズムよく繋げば、人を楽しませるのに十分だ。

日本描写はもう気持ちいいくらいにデフォルメされていて、仮
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ハミルトン(2020年製作の映画)

5.0

濃密な観劇で脳みそが感激。韻踏んじゃった。

建国史と愛憎と運命が、ダンスと詩とヒップホップが、ビートに乗っかって洪水のように押し寄せる。アメリカ合衆国を産み落とした男と、それを語り継いだ女の物語。政
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.8

下を向いて走ろう。巨大なドーナツ盤から目を逸らして!

聴き分けが良いと思っていた相手が突然暴れ出すとか、無機物だと思っていたものが有機的な動きを見せるとか、表か裏かと思って投げたコインが立っちゃうと
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.5

ウェスくんのフィルモグラフィにおいて、ひいては映画史全体において、革命的な意味を持ちうるほどの圧倒的ディテールと鬼気迫る演出の数々。

すげえのは分かるけど、おれが好きなのはこれじゃないんだよ。だって
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.8

10代の少女が変身してモンスターな親と戦う「毒親ディザスタームービー」だ!!

まず、監督の作家性がここまで色濃く表出した作品がピクサーから出てきたことに感動。ディズニーは映画作りの方法論がかなり盤石
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.5

事件を追体験するタイプの映画って結構あるけど、この映画は追体験ってよりも記憶をそのまま脳にインプットされる感覚。断片的に繋がれた映像は時々カラーだったり、些細なディテールがやけに詳細だったりして、その>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.4

ミスリードも効いてるし前作より遥かに良くなってんのは確か。ジェームズ・ガンの『ザ・スーサイド・スクワッド』に対抗しようという意志が、シチュエーションの節々から感じられて良かった。やっぱマーベルとDCは>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

4.8

なんて美しい!! あらゆるエンターテイメントの原点じゃないだろうか。

ミュージカルもコメディもロマンスも、神秘的な遺跡の探検と一緒くたに、スリリングに描かれる。大雑把ながら全てがひとつながりになって
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

4.4

普通に楽しめたけど、やっぱこのシリーズって一作目の「会えなかったはずの存在と会う」感動に本質があったように思う。今作も頑張ってはいたけど、結局のところシークウェルは全部蛇足になってしまってるような…。>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.9

最近よくある「名作の数十年越しの続編」の模範解答じゃなかろうか。80年代アクション映画の文法と、ゼロ年代以降のアクション映画の文法が響き合ってハーモニーになってる感じ。『ゴーストバスターズ/アフターラ>>続きを読む

呪詛(2022年製作の映画)

3.8

幽霊側に共感してしまうのであんま怖くない。「自分の居場所を荒らした奴を呪ってやる」という単純な動機が明け透けで人間味を感じてしまうというか……ホラーの主人公はもっと自分の理解できない論理で理不尽に追い>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

4.9

笠智衆の佇まいが物語に説得力を保たせていて凄まじい。こんなお父さんだったら、そりゃ離れてらんないよな。

飽くまで父娘のドラマから逸脱も飛躍もしないんだけど、親子愛の向こう側に歪んだ愛がうっすらと透け
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

70年代の光に照らされて、ふたりは窓ガラスに反射する面影を追いかけて疾走する。世界の終わりが訪れようと、おれたちは誰かを愛することをやめない。

試写会に当たっちゃって、遅れるわけにいかないから授業を
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トップガン(1986年製作の映画)

4.2

筋肉と戦闘機が踊り、美男と美女がキスをする。それが至上のエンタメだった時代に、ちょっと思いを馳せてみる。絶賛公開中の続編を観ると、趣向は違って見えるのに「この親あってのこの子だよな」と、どうにも思わず>>続きを読む

天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

4.3

「神も仏もありゃしない」なんてことはないだろうけど、それにしたって神様がすべて見てくれているとはちょっと思えない。神様は俺たちを見ていたとしても、許してくれるのはこれだけである。それを寛大だと思うかケ>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.8

あまりの恐怖に隣の席のおじさんと爆笑しながら、映画館でおれは未来を見た…

パリ13区(2021年製作の映画)

4.7

エイドリアン・トミネの辛気臭い原作を3本組み合わせて、全く味わいの違う作品に仕上げてる。おれは原作もかなり好きなんだけど、この映画のことも相当好きだ。なかなかの意欲作。

画面がモノクロなところ以外は
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.8

人のことは分からない。相手のことを全部分かってるなんて思ってるとしたら、それこそ傲慢だ。だけどおれらは「分かりたい」と伝えることならできる。言葉でも、それがこっ恥ずかしかったら態度でも。

音響が凝っ
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.5

初めて撮ったミュージカル映画で、映画の歴史更新しちゃってる気がする。スピルバーグ、やはり恐ろしいお爺ちゃん。

「ミュージカル」と「映画」という、似たようでかなり質の違う二つの芸術形態を、初めて完璧に
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.6

DCコミックスの「ジョーカー使ってマーティン・スコセッシみたいな映画撮ろうぜ!」なんて思いつきから産まれた映画が大ヒットしたのがもう3年前。今度は「バットマン使ってデヴィッド・フィンチャーみたいな映画>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.4

イーストウッドが「アップデートの時代」に対して静かに食らわすカウンター。

正直言ってかなり平坦な映画だなあというのが第一印象だけど、不思議と退屈しないこの感じ、そして見た目に反してめちゃくちゃ優しい
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.2

揺れるカメラワークの向こう側に、絶望と音楽の温度を感じる。皮肉な物語を目の当たりにして、「やさしくなりたい」なんて思えなくなってくる。

映画を観て「これ作ったやつ絶対性格悪いわ」と思うことは往々にし
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恋のドッグファイト(1991年製作の映画)

4.8

戦争と初恋。嘘ばっかりのこの世界で、偽りのない本物って言えるものって一体何なんだ?

「一番ブスな女の子をナンパしてきたやつが勝ち」っていう最低な男子ノリから始まる物語は、凡庸な恋愛映画のようにも見え
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.1

俳優陣のオーバーな演技合戦はまあ良かったけど、あまりに愛のない脚本と撮影で疲れた。『最後の決闘裁判』でも思ったことなんだけど、リドリー・スコットって実話を第三者の目線から「皮肉な寓話」として撮るような>>続きを読む

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

5.0

完璧な恋愛映画だと思う。恋はいつだって冒険で、バイオレンスで、カタストロフィで、ちょっぴり寂しいのだ。

愛し合う2人が繰り広げる逃避行は、ロマンチックというにはちょっと凶暴すぎる。彼らの恋愛模様も、
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ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.7

痛快探偵映画でよくある「お前が犯人か!」みたいな胸のすく展開も、ノア・バームバックの手にかかればこんなにむず痒くなってしまう。本当この監督最高。こんな気持ちよくないどんでん返しは初めて観た。

自分が
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マーゴット・ウェディング(2007年製作の映画)

4.7

ドミノ式に瓦解していく、病める家族と結婚式。

気まずいシチュエーションと喧しい口喧嘩、BGMの向こうに少しだけ波の音が聞こえる。パステルカラーの画面が可愛くてコメディ映画みたく笑いながら観てられるん
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ミストレス・アメリカ(2015年製作の映画)

4.5

ノア・バームバックって「若者からしたらカッコよく見えなくもないけど、実際30にもなって青春時代を引きずってるちょっと痛い大人」みたいな、自分の中にも外にもちょっとずついるようなキャラクターを静かにリア>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.9

ウェスの狂気的な作家性がここにきて爆発。今までは「可愛い」に持ってかれてたけど、この作り込みはさすがに「怖い」が勝つ。あんな手の込んだセットをいくつも作っておいて、たった数秒しか使わないなんて。全部ま>>続きを読む

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

4.4

豪華な俳優陣を全員真顔で硬直させて、アンディよろしくお人形遊びしてたのが今までのウェス作品だったわけだけど、ついにガチのお人形遊びにシフトする。ロアルド・ダールの原作絵本がウェスの作家性とマッチしてる>>続きを読む

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

4.6

前作に引き続き「ユニフォームって大事だよね」っていう映画である。怖い顔してすぐ拗ねるウィレム・デフォーが最高。デヴィッド・ボウイのギターアレンジも心地良い。

ウェス・アンダーソンの映画は全部かわいく
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

4.7

ウェス監督のすごいところは、こんなに可愛くて格好よくて凄いのに、なんだか鼻につかないところ。映画の中身よりも見た目を重視して狂気的に作り込む監督は意外と沢山いるけど、それでいて「狂気的」より先に「かわ>>続きを読む